二人の永遠がこの世界になくても
「お姉ちゃんは高校を中退して、それからしばらくお姉ちゃんが帰って来なくなった。ある日ね、私は友達と繁華街に遊びに行ってた。お姉ちゃんはたまにだけど私には連絡くれてて、近くに居るから会おうよってことになって少し話してさ。家に帰って、私ママに言っちゃったの。“今日お姉ちゃんに会ったよ。元気そうだったから大丈夫だよ”って。口は災いの元だって知ってたのに」
「ママさんは…?」
「それからまたしばらくして家に帰ってきたお姉ちゃんにママは鬼みたいな顔をして言った。“夜月に関わるな”って。私の人生を壊すなってママの言葉で、お姉ちゃんは二度とうちには帰って来なかった」
私の暮らしを壊したのはお姉ちゃんじゃ無い。
確かにきっかけはお姉ちゃんの小さい嘘だったかもしれない。
家族がお姉ちゃん中心になってから、私は自分の存在価値が分からなくなった。
私だってグレようと思えば簡単だったかもしれない。
でもできなかった。
私がいい子で居れば家族の関心が向いてくれると思っていたし、元に戻せると思っていた。
でもそうじゃなくて、もう元に戻せないくらい壊れていて、私は諦めた。
お姉ちゃんのせいじゃない。
私が簡単な道を選んだだけ。
諦めるのは簡単だった。
関わらなければ傷つくなくて済む。
見えないなら、存在しないのと同じだから。
「気づいた時にはお姉ちゃんは県外に行ってて、そこでも相当苦労はしたみたいだけど。バイト先で知り合った人と結婚して、デキ婚して、今に至るってわけ」
「ママさん達は知ってるの?」
「もちろん。赤ちゃんができた時に電話が来たんだ。妊娠した時、お姉ちゃんは十九歳の誕生日の少し前だった。去年子どもが産まれて、もうすぐ二十歳になるよ」
「ママさん達は許したの?」
「赤ちゃんができて結婚するって聞いた時、年齢的に驚いてはいたけど、ちょっと安心もしたみたい。やっと少しは落ち着くかもしれないってことにも、ちゃんと生きてたってことにも…」
「ヨヅキは?」
「私は…何も変わらない」
そうだ。
私の心の底は何も変わらない。
この家からお姉ちゃんが居なくなった日からずっと。
家族の中心がお姉ちゃんから私に変わったわけじゃ無い。
お姉ちゃんが居なくなったまま、全員が違う方向を向いただけだ。
「ママさんは…?」
「それからまたしばらくして家に帰ってきたお姉ちゃんにママは鬼みたいな顔をして言った。“夜月に関わるな”って。私の人生を壊すなってママの言葉で、お姉ちゃんは二度とうちには帰って来なかった」
私の暮らしを壊したのはお姉ちゃんじゃ無い。
確かにきっかけはお姉ちゃんの小さい嘘だったかもしれない。
家族がお姉ちゃん中心になってから、私は自分の存在価値が分からなくなった。
私だってグレようと思えば簡単だったかもしれない。
でもできなかった。
私がいい子で居れば家族の関心が向いてくれると思っていたし、元に戻せると思っていた。
でもそうじゃなくて、もう元に戻せないくらい壊れていて、私は諦めた。
お姉ちゃんのせいじゃない。
私が簡単な道を選んだだけ。
諦めるのは簡単だった。
関わらなければ傷つくなくて済む。
見えないなら、存在しないのと同じだから。
「気づいた時にはお姉ちゃんは県外に行ってて、そこでも相当苦労はしたみたいだけど。バイト先で知り合った人と結婚して、デキ婚して、今に至るってわけ」
「ママさん達は知ってるの?」
「もちろん。赤ちゃんができた時に電話が来たんだ。妊娠した時、お姉ちゃんは十九歳の誕生日の少し前だった。去年子どもが産まれて、もうすぐ二十歳になるよ」
「ママさん達は許したの?」
「赤ちゃんができて結婚するって聞いた時、年齢的に驚いてはいたけど、ちょっと安心もしたみたい。やっと少しは落ち着くかもしれないってことにも、ちゃんと生きてたってことにも…」
「ヨヅキは?」
「私は…何も変わらない」
そうだ。
私の心の底は何も変わらない。
この家からお姉ちゃんが居なくなった日からずっと。
家族の中心がお姉ちゃんから私に変わったわけじゃ無い。
お姉ちゃんが居なくなったまま、全員が違う方向を向いただけだ。