二人の永遠がこの世界になくても
翌日。
夕方五時くらいに春華がコンビニに行ってくると言った。

「ごめんー、今数学の宿題やっててー」

「いいよ。一人で行ってくるから」

「ごめんね。まだ暑いから気をつけてね」

「うん。いってきます」

コンビニに行くだけだからかな。
Tシャツにハーフパンツと、すごく軽装だなって思ったけれど、顔がイイと様になるからいいなぁなんて思いながら私は数学のドリルと向き合った。

休ませる気なんて無い、夏休みの膨大な宿題量には何年経っても腹が立つ。

今日だけで十ページは終わらせたし、国語も数学も七月中には終わらせることができそうだ。

でもまだまだ自由研究と美術の水彩画、高校に入ってからは無くなっていたのに今年は読書感想文もある。

小説を読む子どもが年々減少していることを嘆いて、のことらしい。
確かに私の部屋の本棚も漫画や雑誌で埋まっている。

小説も何冊かはあるけれどお気に入りの作家さんばっかりで、ジャンルも偏っている。

もっと色んなジャンルを試したいって気持ちはある。
感情や語彙の幅も広がりそうで素敵だなって思う。

コンビニやファミレスの“新商品”に手を出しにくいのと同じだ。
新しいことってちょっと億劫になってしまう。
ルーティーンは間違いないって安心してしまうから。

でも春華の時と同じだ。
あんなに億劫だったけれど、こんなに素敵なことが待っていた。

明日は図書館に行ってみようかなって思った。
図書館なら沢山の本を試せるしお気に入りが見つかるかもしれない。

春華にも今の時代の図書館を見せてあげたいと思った。
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