二人の永遠がこの世界になくても
「どうなったの」

莉奈ちゃんが呟いた。

「どうもなってないよ」

「はぁ?おちょくってんの?」

「そっちの都合に合わせてあげるって言ってんの。おかしいと思わないの?あいつ、人を刺しておいてなんであんな態度が取れるのよ!人殺しだよ!?」

「それは………ごめん…」

「なんで莉奈ちゃんが謝んの?謝って済むことじゃないんだよ」

「それは分かってる。あいつに善悪がつかないのは私のせいでもある」

「どういうこと?」

「あいつの親、まぁよく言う毒親でさ。ネグレクトって言うの?そんな感じなんだ。ちっちゃい時からずっと。うちら幼馴染なんだけどそんなあいつをうちの家族がずっと気にかけてた。児相に言うこともできたけど、しなかったんだ。私もあいつも、離ればなれにだけはなりたくなかった」

離ればなれになりたくない。
それは私も春華もそうだ。
でもあいつは春華が死ぬことによって私達を離ればなれにさせようとした。
絶対に許せない。

「世話を焼くうちにあいつも私に執着っていうか依存しちゃってさ。他の男が近づいただけで威嚇するようになった。それで…」

「春華が莉奈ちゃんに近づいたの?」

「そこで声かけられたんだよ。リナちゃんって呼ばれて、私は全然知らない奴だから不思議がってたらあいつがキレて…」

「事情は分かったよ。でも理解はしたくない。幼少期のことは可哀想だと思う。でもそんな過去があるからって全員が誰かに危害を加えるわけじゃ無い。ちゃんと治療するべきだと思う。あいつが大事なんでしょ?」

「なんで…」

「さっきからずっと、莉奈ちゃんは口調は荒いけどどうにか庇おうとしてるの伝わるよ。大事ならこんなこともうやめさせて。私達はあいつのせいで離ればなれになるとこだった!分かるよね?」

「…うん。ごめん」

「莉奈ちゃん、このことは絶対に忘れて。ううん…忘れなくてもいい。私達はあのバカげた願いで全部チャラにしてあげる。莉奈ちゃんも過去のおかしな出来事として流してくれる?」

「分かった」

「莉奈ちゃん」

「何?」

「おコナは元気?」

「なんで知って…!」

「…前に写真を見せてもらったことがあるの。委員会の時に」

「…ふーん。元気だよ」
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