どろびく(#We l♡ve draw a picture)

王国パロ 三話


黒子「…言い方が悪かったね。明日から、隣国にお使いに行ってほしくてね。行ったついでに一週間、息抜きに旅行はどうかと思って。」
叉優「いいの……?」

さっきとは打ってかわって明るい声で話す黒子の言っている事は、先程と同じなのに、妙に胸がざわついた。どこか距離を置いている様にも感じる言い方にびっくりしたが、気まぐれだろう。そう思って書斎を出ていく黒子を追った。

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翌日

叉優「ほんとに大丈夫なの?」
黒子「大丈夫だって。他に使用人がいない訳じゃないんだから」
椿月「お土産話聞かせてね」

椿月にも行ってきなよ、と押され、結局隣国に行くことにした私は、黒子と椿月に見送られて城を出た。黒子が用意してくれた馬車に乗り、向かうは隣国の宿屋。なんでも、黒子の知り合いが経営しているらしく、事前に話を通してあるとのこと。馬車の揺れに身を任せ、走ること約1時間半。そもそも城が国の端の方にあるので、そこまで時間はかからなかった。馬車を引いていた人の声かけで目覚めた私は、さっそく宿に入った。

叉優「すごい…レトロだ」
  「長旅お疲れ様。えっと、使用人さんだよね。」
叉優「はい。お世話になります。慧神月の城で使用人してます、涼風叉優です」
璃百「堅苦しいのはいいよ、どうせ同い年でしょ?弥神璃百です、よろしく」

璃百に案内された部屋に荷物を置き、仕事を確認する。仕事、という程のものでもなく、ただ隣国の様子を観察してきて欲しい、というものだった。

叉優「…なんか、ただ旅行すればいいって感じ」

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旅行(((仕事2日目

叉優「なんか、騒がしいな…」

日が昇り出した朝5時30頃、周りの騒がしさに目を覚ました叉優は、軽く身支度を整えて近くにいた璃百に話を聞きに行った。

叉優「璃百、どうしたの?」
璃百「まだ本当かはわかんないけど、慧神月の城に…」

──国民達が乗り込んで

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叉優side

璃百の言葉を聞き終わる前に走り出してしまった。『革命』の二文字が頭から離れない。知っていた、暴君な姫の政治に国民が怒りを抱えていたのも。姫が、黒子が、暴君じゃない事も、“姫”じゃない事も。知っておいて、行動しなかった。できなかった。私一人じゃ何もできないと、思っていたから。

叉優「っ、すいません!乗せてください!」

近くに停まっていた馬車に乗り、城まで送ってもらうようにお願いした。行きは1時間半だった時間が、3時間にも4時間にも感じられた。流石に城までは入れない様で、近くで降ろしてもらい、近くの人に色々と聞いて回った。

  「ああ、なんだっけ。次女の方は特に関わりはないし、異能が使えるから何もないらしいな」
  「姫は…あんな暴君なんだ。当然の結果だよ」

あたり前だ。だって国民が革命を起こした理由は姫だから。聞いた国民は皆、口を揃えてこう言った。

──暴君な姫は処刑される
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