どろびく(#We l♡ve draw a picture)
王国パロ 六話
璃百side
璃百「で、作戦は?」
叉優「椿月の異能、知ってる?」
椿月──とは、姫を通してなんどか顔を合わせていて、仲がいいという括りに入るであろう関係だ。だけど、異能の内容どころか、Rookという事すら知らなかった。だが、さっき叉優の考察(推理かな)の中で、椿月の異能は経済的に使えるから、殺されはしない。むしろ、姫が処刑されたあと、国の頂点に立たせるつもりだろう。そう言っていたし、国民の話でも、椿月は殺されないと言っていた。
璃百「うーん…経済的に使える異能ってなに?」
叉優「自由に天気を変えられる異能、だよ」
璃百「へー。遠足の時の小学生が1番欲しい異能だね。でもさ、どう使うの?天気が変わっても処刑の日は変わんないよ?」
叉優「天気を活用して、霧を起こす。とりあえず視界を悪くするの」
叉優の作戦をまとめると、姫が処刑台に立たされたとき、霧で視界を悪くして黒子を私が幽霊化させる。そのまま逃げる、という内容だった。おそらく、成功する可能性が低いのは、霧でどれだけ視界を妨げられるかがわからない事。私の幽霊化は専用の呪文を唱えるから、その呪文が黒子に届くかどうか。そして1番は、幽霊化させた後、黒子が逃げることに抵抗しないか。最後のは確実に抵抗するだろう。なら、それを見据えた上で作を考えよう。……難しいけど、お願いしてみるか。
璃百「ねぇ、成功する確率をあげられるかもしれない。」
叉優「…え?」
✿❀✿❀✿❀✿❀✿❀✿❀✿❀
幽霊化させるのは、黒子が逃げているのを見せない為。でも、その場から突然黒子が消えるんだから当然、警備は強化され、大事になる。なら、ずっとその場にいる様に“見せればいい”。黒子が抵抗するなら、抵抗できない何かを考えるか、ねむらせてしまえば簡単だ。それができる人を、私は知っていた。
叉優「…本気なんだね」
璃百「大丈夫だよ。」
電話のコールの音が響く室内。あれから自分の宿に戻ってきたが、やはり落ち着かない。自室なのに、コール音に緊張している私がいた。無慈悲に鳴り続くコール音は、3回鳴った後、綺麗な声に変わった。ここからが本番だ。
『もしもし…?』
璃百「……楼成…?」
電話の相手は、慧神月の隣国、私の住む芥梨を治める王子こと、東雲楼成だ。私は元々芥梨の城で使用人として働いており、楼成の専属使用人──黒子と叉優の様な関係性だったのだ。
楼成『…璃百?』
璃百「うん。ごめん、急に電話して。今の慧神月の状況、わかるよね」
楼成『勿論。一応治めてる側の人間だし』
璃百「……協力、して欲しくて──」
璃百「で、作戦は?」
叉優「椿月の異能、知ってる?」
椿月──とは、姫を通してなんどか顔を合わせていて、仲がいいという括りに入るであろう関係だ。だけど、異能の内容どころか、Rookという事すら知らなかった。だが、さっき叉優の考察(推理かな)の中で、椿月の異能は経済的に使えるから、殺されはしない。むしろ、姫が処刑されたあと、国の頂点に立たせるつもりだろう。そう言っていたし、国民の話でも、椿月は殺されないと言っていた。
璃百「うーん…経済的に使える異能ってなに?」
叉優「自由に天気を変えられる異能、だよ」
璃百「へー。遠足の時の小学生が1番欲しい異能だね。でもさ、どう使うの?天気が変わっても処刑の日は変わんないよ?」
叉優「天気を活用して、霧を起こす。とりあえず視界を悪くするの」
叉優の作戦をまとめると、姫が処刑台に立たされたとき、霧で視界を悪くして黒子を私が幽霊化させる。そのまま逃げる、という内容だった。おそらく、成功する可能性が低いのは、霧でどれだけ視界を妨げられるかがわからない事。私の幽霊化は専用の呪文を唱えるから、その呪文が黒子に届くかどうか。そして1番は、幽霊化させた後、黒子が逃げることに抵抗しないか。最後のは確実に抵抗するだろう。なら、それを見据えた上で作を考えよう。……難しいけど、お願いしてみるか。
璃百「ねぇ、成功する確率をあげられるかもしれない。」
叉優「…え?」
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幽霊化させるのは、黒子が逃げているのを見せない為。でも、その場から突然黒子が消えるんだから当然、警備は強化され、大事になる。なら、ずっとその場にいる様に“見せればいい”。黒子が抵抗するなら、抵抗できない何かを考えるか、ねむらせてしまえば簡単だ。それができる人を、私は知っていた。
叉優「…本気なんだね」
璃百「大丈夫だよ。」
電話のコールの音が響く室内。あれから自分の宿に戻ってきたが、やはり落ち着かない。自室なのに、コール音に緊張している私がいた。無慈悲に鳴り続くコール音は、3回鳴った後、綺麗な声に変わった。ここからが本番だ。
『もしもし…?』
璃百「……楼成…?」
電話の相手は、慧神月の隣国、私の住む芥梨を治める王子こと、東雲楼成だ。私は元々芥梨の城で使用人として働いており、楼成の専属使用人──黒子と叉優の様な関係性だったのだ。
楼成『…璃百?』
璃百「うん。ごめん、急に電話して。今の慧神月の状況、わかるよね」
楼成『勿論。一応治めてる側の人間だし』
璃百「……協力、して欲しくて──」