リフレイン
兄弟でも心がえぐり取られたような感覚になる。恋人だと、どれほど苦しいのだろう。
半年、その温もりを感じていなくとも、あの様子だと、簡単に忘れられなかったことだろう。
それでも彼女は、ここで笑顔を見せた。
「……彼女、桜みたいな人だな」
『でしょ?』
一生聞こえるはずのない声に、嬉しそうに返された気がした。
❀
凍てつく寒さは和らぎ、すべての生命が生きやすい季節がやってきた。
理桜はベッドから降りて、カーテンを開ける。窓の向こうには、美しい水色が広がっている。
さらに窓を開けると、爽やかな空気が流れ込んでくる。
深呼吸をしながら、身体を伸ばす。
それから、お気に入りのものを置いたスペースの前に移動した。
「おはよう、秋希。今日はお花見日和だよ。どこの桜を見に行こうか」
応える声はなくとも、理桜の笑顔は柔らかかった。