ニセモノカップル。
エピローグ
「明けましておめでとうございます」
「お、来たな! じいちゃん、俺休憩もらうから」
一月一日。神楽神社は大賑わいだ。
朝一番に、私は神楽くんに会いにきていた。
神楽くん、袴姿がめちゃくちゃかっこいい!!
道行く人も神楽くんに見惚れているような気がする。
「すごい似合ってます。かっこいいね」
「そうかぁ? 杏にそう言われるなら、悪い気はしないけどよ。とりあえずお参りするか?」
「その恰好じゃまずいでしょ。神社の仕事が終わってからでいいよ」
「それだと夕方になるけどいいのか?」
「うん。また来ますから。今回は袴姿見に来ただけです」
「なんだよそれ。俺のこと好きすぎだろ」
クククッと笑う神楽くん。私もつられて微笑んだ。
「というかさぁ、いつまで敬語なの? 今年からは敬語やめるって約束したじゃん」
「あ、そうだった」
敬語、喋りやすいんだけどね。神楽くん……じゃないや、竜司は他人行儀みたいで嫌らしいから、直そうと頑張っているところだ。
彼は私と付き合ってから、少し雰囲気が変わった。
鋭い目は同じだけど、なんだか彼を取り巻く空気が変わったみたい。
今は少しずつだが彼に話しかけてくるクラスメイトも出てきたらしい。
七瀬さんたちが広めた噂はまだ残っているけれど、人の噂も七十五日って言うしね。
私たちは理不尽な目にあったり、間違ったり、嘘をついたりする。
最初から正解は選べないし、マンガの主人公みたいに、完璧ないい子ではいられない。
だけど、それでも、今日も君に恋をする。
「杏、今年もよろしくな」
「……うんっ」
そうやって少しずつ、成長していく。
「お、来たな! じいちゃん、俺休憩もらうから」
一月一日。神楽神社は大賑わいだ。
朝一番に、私は神楽くんに会いにきていた。
神楽くん、袴姿がめちゃくちゃかっこいい!!
道行く人も神楽くんに見惚れているような気がする。
「すごい似合ってます。かっこいいね」
「そうかぁ? 杏にそう言われるなら、悪い気はしないけどよ。とりあえずお参りするか?」
「その恰好じゃまずいでしょ。神社の仕事が終わってからでいいよ」
「それだと夕方になるけどいいのか?」
「うん。また来ますから。今回は袴姿見に来ただけです」
「なんだよそれ。俺のこと好きすぎだろ」
クククッと笑う神楽くん。私もつられて微笑んだ。
「というかさぁ、いつまで敬語なの? 今年からは敬語やめるって約束したじゃん」
「あ、そうだった」
敬語、喋りやすいんだけどね。神楽くん……じゃないや、竜司は他人行儀みたいで嫌らしいから、直そうと頑張っているところだ。
彼は私と付き合ってから、少し雰囲気が変わった。
鋭い目は同じだけど、なんだか彼を取り巻く空気が変わったみたい。
今は少しずつだが彼に話しかけてくるクラスメイトも出てきたらしい。
七瀬さんたちが広めた噂はまだ残っているけれど、人の噂も七十五日って言うしね。
私たちは理不尽な目にあったり、間違ったり、嘘をついたりする。
最初から正解は選べないし、マンガの主人公みたいに、完璧ないい子ではいられない。
だけど、それでも、今日も君に恋をする。
「杏、今年もよろしくな」
「……うんっ」
そうやって少しずつ、成長していく。