天妃物語 〜鬼討伐の条件に天帝の子を身籠ることを要求されて〜
「紫紺、青藍を連れて逃げなさい。できる限り遠くへ」
「えっ、それならははうえも……!」
「私はここに残ります。四凶を復活させてしまった始末をつけねばなりません」
「ダメだ、そんなのダメだ! ははうえもいっしょじゃないとダメだ!」
「わがままを言ってはいけません! あなたと青藍は黒緋様と私の子、必ず生き延びなければならないのです!!」
私は強い口調で言いました。
紫紺は涙目になったけれど、でもこの子が怯んだのは一瞬。私と青藍をぎゅっと抱きしめてきました。
「いやだ! オレはつよいんだ! ははうえのためにつよくなるっていった! だから、ははうえとせいらんはオレがまもってやる!」
「紫紺、ダメです!」
「ダメじゃない!!」
紫紺は強い口調で言うと、私と青藍を庇うように前に立ちました。
目の前に立った小さな背中。
紫紺から神気が立ち昇り、私は唇を噛みしめる。
天妃になって初めて感じた紫紺の神気。それは三歳とは思えぬほど強大でした。
初めて自分でも感じられるようになって、この子が天帝の子どもだということを思い知ります。ならば、やはりあなたは生きねばなりません。
「紫紺、よく聞いてください。あなたは青藍を連れて黒緋様のところに行くんです。黒緋様ならあなたと青藍を守ってくれます」
「なんでそんなこというんだ!! オレはここでたたかう!!」
紫紺はそう言うと羅紗染に向かって駆けだしました。
素早い動きで接近して殴りかかります。
「おまえなんかやっつけてやる!!」
「邪魔をするな!!」
「うわあっ!」
寸前、紫紺の体が吹っ飛びました。
羅紗染の邪気が跳ね返したのです。羅紗染は邪神の分身、紫紺といえど近づくのさえ難しいのです。
「紫紺、紫紺!!」
私は青藍を抱っこし、重い体を引きずって紫紺の元へ行きました。
手足に鉛を付けられたように重い。強制的な封印解放の負荷がまだ残っているのです。
でも今は青藍を離さないように抱っこし、倒れた紫紺の体を支えます。
「だめですっ、邪神の分身と戦ってはいけません! あなたは逃げてくださいっ、お願いだから……!」
「くっ、う、だめだっ……! ここでにげたら、ははうえはどうするんだっ。ははうえはオレがまもってやる……! あいつはオレがやっつける!!」
「紫紺……!」
紫紺は起き上がるとまた果敢に立ち向かっていきました。
得意の体術で羅紗染を翻弄し、祝詞を唱えて神気を発動する。必死に戦う姿に私の胸が苦しくなりました。
「えっ、それならははうえも……!」
「私はここに残ります。四凶を復活させてしまった始末をつけねばなりません」
「ダメだ、そんなのダメだ! ははうえもいっしょじゃないとダメだ!」
「わがままを言ってはいけません! あなたと青藍は黒緋様と私の子、必ず生き延びなければならないのです!!」
私は強い口調で言いました。
紫紺は涙目になったけれど、でもこの子が怯んだのは一瞬。私と青藍をぎゅっと抱きしめてきました。
「いやだ! オレはつよいんだ! ははうえのためにつよくなるっていった! だから、ははうえとせいらんはオレがまもってやる!」
「紫紺、ダメです!」
「ダメじゃない!!」
紫紺は強い口調で言うと、私と青藍を庇うように前に立ちました。
目の前に立った小さな背中。
紫紺から神気が立ち昇り、私は唇を噛みしめる。
天妃になって初めて感じた紫紺の神気。それは三歳とは思えぬほど強大でした。
初めて自分でも感じられるようになって、この子が天帝の子どもだということを思い知ります。ならば、やはりあなたは生きねばなりません。
「紫紺、よく聞いてください。あなたは青藍を連れて黒緋様のところに行くんです。黒緋様ならあなたと青藍を守ってくれます」
「なんでそんなこというんだ!! オレはここでたたかう!!」
紫紺はそう言うと羅紗染に向かって駆けだしました。
素早い動きで接近して殴りかかります。
「おまえなんかやっつけてやる!!」
「邪魔をするな!!」
「うわあっ!」
寸前、紫紺の体が吹っ飛びました。
羅紗染の邪気が跳ね返したのです。羅紗染は邪神の分身、紫紺といえど近づくのさえ難しいのです。
「紫紺、紫紺!!」
私は青藍を抱っこし、重い体を引きずって紫紺の元へ行きました。
手足に鉛を付けられたように重い。強制的な封印解放の負荷がまだ残っているのです。
でも今は青藍を離さないように抱っこし、倒れた紫紺の体を支えます。
「だめですっ、邪神の分身と戦ってはいけません! あなたは逃げてくださいっ、お願いだから……!」
「くっ、う、だめだっ……! ここでにげたら、ははうえはどうするんだっ。ははうえはオレがまもってやる……! あいつはオレがやっつける!!」
「紫紺……!」
紫紺は起き上がるとまた果敢に立ち向かっていきました。
得意の体術で羅紗染を翻弄し、祝詞を唱えて神気を発動する。必死に戦う姿に私の胸が苦しくなりました。