天妃物語 〜鬼討伐の条件に天帝の子を身籠ることを要求されて〜
「さあ、決めてください!!」
四凶に隙ができました。
まず紫紺が素早い動きで接近し、光すらも切り裂く抜刀で窮奇を両断しました。
続いて離寛が得意の槍で饕餮を貫きます。
そして最後に黒緋です。
「この拳ですべてを終わらせる。俺はもうなにも失わない! 失わせない!!」
ズドオオオオオンッ!!
黒緋が瀕死だった渾沌を一撃で絶命させました。
しかしその隙に檮杌が背後から襲いかかりますが、ピタリッと檮杌の動きが止まる。黒緋の結界に囚われたのです。
黒緋がゆっくり振り返りました。
「消えろ」
ドンッ!!
檮杌の巨体が爆散しました。
最後に残った一体も跡形もなく消滅し、とうとう四凶を討伐したのです。
「ああ、終わったのですね……」
私はため息とともに呟きました。
戦いを終えた紫紺が笑顔で駆けてきます。
「ははうえ〜!」
「紫紺、お疲れさまでした。よく頑張りましたね」
「うん!」
足にぎゅっとしがみついてきた紫紺を私も抱きしめます。
本当によく頑張ってくれました。あなたが強くなってくれたから四体を分断して戦うことができたのです。
はしゃぐ紫紺の姿に目を細め、次に黒緋に目を向けました。
「お疲れさまでした」
そう言うと黒緋が頷いて歩いてきます。
私の前に立つと優しく抱きしめてくれる。
「終わったぞ。お前を長く一人にしてすまなかった」
「いいえ、ありがとうございました。ずっと……、ずっと探してくれていたんですね」
「会いたかったんだ。ずっと伝えたかった、愛していると」
黒緋はそう言うと私を抱きしめる両腕に力を込めました。
告げられた言葉に涙がこみ上げる。
ああ、ずっと愛していました。記憶を忘れても、すべてを失っても、それでも黒緋を愛していました。長く長く、ずっと長く黒緋だけを。
「っ、黒緋さま……、黒緋さま……っ」
「ようやくお前を迎えにこれた」
「私も、あなたにずっと会いたかったです。私の愛おしい御方……っ」
やっとです。やっと帰ることができたのですね。
私は黒緋の逞しい胸板に顔をうずめます。
黒緋の大きな手が私の髪を何度も何度も撫でてくれました。
「おかえり、鶯。一緒に帰ろう」
「はい。ただいま戻りました。帰りましょう、みんなで一緒に」
嗚咽交じりに答えると、顔を上げて黒緋を見つめます。
すると目が合って、なんだかくすぐったい気持ち。私たちは小さく笑いあって、見つめあったまま引かれあうように唇を重ねたのでした。
四凶に隙ができました。
まず紫紺が素早い動きで接近し、光すらも切り裂く抜刀で窮奇を両断しました。
続いて離寛が得意の槍で饕餮を貫きます。
そして最後に黒緋です。
「この拳ですべてを終わらせる。俺はもうなにも失わない! 失わせない!!」
ズドオオオオオンッ!!
黒緋が瀕死だった渾沌を一撃で絶命させました。
しかしその隙に檮杌が背後から襲いかかりますが、ピタリッと檮杌の動きが止まる。黒緋の結界に囚われたのです。
黒緋がゆっくり振り返りました。
「消えろ」
ドンッ!!
檮杌の巨体が爆散しました。
最後に残った一体も跡形もなく消滅し、とうとう四凶を討伐したのです。
「ああ、終わったのですね……」
私はため息とともに呟きました。
戦いを終えた紫紺が笑顔で駆けてきます。
「ははうえ〜!」
「紫紺、お疲れさまでした。よく頑張りましたね」
「うん!」
足にぎゅっとしがみついてきた紫紺を私も抱きしめます。
本当によく頑張ってくれました。あなたが強くなってくれたから四体を分断して戦うことができたのです。
はしゃぐ紫紺の姿に目を細め、次に黒緋に目を向けました。
「お疲れさまでした」
そう言うと黒緋が頷いて歩いてきます。
私の前に立つと優しく抱きしめてくれる。
「終わったぞ。お前を長く一人にしてすまなかった」
「いいえ、ありがとうございました。ずっと……、ずっと探してくれていたんですね」
「会いたかったんだ。ずっと伝えたかった、愛していると」
黒緋はそう言うと私を抱きしめる両腕に力を込めました。
告げられた言葉に涙がこみ上げる。
ああ、ずっと愛していました。記憶を忘れても、すべてを失っても、それでも黒緋を愛していました。長く長く、ずっと長く黒緋だけを。
「っ、黒緋さま……、黒緋さま……っ」
「ようやくお前を迎えにこれた」
「私も、あなたにずっと会いたかったです。私の愛おしい御方……っ」
やっとです。やっと帰ることができたのですね。
私は黒緋の逞しい胸板に顔をうずめます。
黒緋の大きな手が私の髪を何度も何度も撫でてくれました。
「おかえり、鶯。一緒に帰ろう」
「はい。ただいま戻りました。帰りましょう、みんなで一緒に」
嗚咽交じりに答えると、顔を上げて黒緋を見つめます。
すると目が合って、なんだかくすぐったい気持ち。私たちは小さく笑いあって、見つめあったまま引かれあうように唇を重ねたのでした。