天妃物語 〜鬼討伐の条件に天帝の子を身籠ることを要求されて〜
「黒緋様、早く紫紺を助けに行きましょう!」
「悪くない戦いぶりだぞ」
「なにをのん気に!」
思わず声を上げました。
そんな私に黒緋が驚いたように目を丸めます。
「紫紺は遅れをとっていないように見えるが」
「そういう問題ではありません!」
きっぱり言った私に黒緋が苦笑しました。
「お前が紫紺を大切に思ってくれて嬉しいよ」
「当たり前です」
紫紺は黒緋と私の子どもです。心配しないはずがありません。
紫紺がどれだけ強くなろうと私にとってはまだ三歳の幼い息子。黒緋だってあれほど子どもを望んでくれていたのですからそう思ってくれているはずでしょう。
「あなただって紫紺が大切でしょう?」
「もちろんだ。あれは俺の血を継いだ大事な息子だ。持って生まれた潜在能力も申し分ない。もう少しその力を見ていたかった気もするが、いいだろう、そろそろ戻ろう」
「お願いします!」
祠の前に立った黒緋が指で印を組み、祝詞を唱えだしました。
すると祠にピシピシッと青白い亀裂が走りだす。
「祠が……!」
亀裂はさらに深くなって、――――パリーーン!!
青白い閃光が弾けて祠が砕けました。
突風のような衝撃波に体が煽られましたが、黒緋の力強い腕が私の肩を抱いて守ってくれます。
衝撃波が収まって、おそるおそる顔を上げました。
「ああ紫紺!!」
視界に飛び込んできた光景に声を上げました。
結界を破って元の世界に帰れましたが、そこでは紫紺が鬼神に対峙して熾烈な戦いを繰り広げていたのです。
「悪くない戦いぶりだぞ」
「なにをのん気に!」
思わず声を上げました。
そんな私に黒緋が驚いたように目を丸めます。
「紫紺は遅れをとっていないように見えるが」
「そういう問題ではありません!」
きっぱり言った私に黒緋が苦笑しました。
「お前が紫紺を大切に思ってくれて嬉しいよ」
「当たり前です」
紫紺は黒緋と私の子どもです。心配しないはずがありません。
紫紺がどれだけ強くなろうと私にとってはまだ三歳の幼い息子。黒緋だってあれほど子どもを望んでくれていたのですからそう思ってくれているはずでしょう。
「あなただって紫紺が大切でしょう?」
「もちろんだ。あれは俺の血を継いだ大事な息子だ。持って生まれた潜在能力も申し分ない。もう少しその力を見ていたかった気もするが、いいだろう、そろそろ戻ろう」
「お願いします!」
祠の前に立った黒緋が指で印を組み、祝詞を唱えだしました。
すると祠にピシピシッと青白い亀裂が走りだす。
「祠が……!」
亀裂はさらに深くなって、――――パリーーン!!
青白い閃光が弾けて祠が砕けました。
突風のような衝撃波に体が煽られましたが、黒緋の力強い腕が私の肩を抱いて守ってくれます。
衝撃波が収まって、おそるおそる顔を上げました。
「ああ紫紺!!」
視界に飛び込んできた光景に声を上げました。
結界を破って元の世界に帰れましたが、そこでは紫紺が鬼神に対峙して熾烈な戦いを繰り広げていたのです。