天妃物語 〜鬼討伐の条件に天帝の子を身籠ることを要求されて〜
「ぐっ、貴様、どうして……! くそっ、離せ……!」
「ああ、離してやろう」
ドズンッ!!
黒緋が鬼神の顔面を鷲掴みしたまま地面に巨体を叩きつけました。
衝撃に地面が震動し、鬼神が「カハッ、ア、ア……」と小刻みに痙攣しています。
私と紫紺の金縛りが解けてその場にへたり込んでしまう。
呆然と黒緋を見つめました。
「黒緋様……」
「鶯、大丈夫か? 紫紺は……、ああ平気そうだな」
黒緋は紫紺の様子をたしかめて安堵の顔になります。
そしてゆっくりと鬼神の前に立ちました。
「おのれぇ、金縛りを解いたのかっ。だが金縛りが解けたところで術が使えなくては意味がない。術を使えぬ陰陽師など無力な人間! 死ね、陰陽師!!」
鬼神が猛烈な勢いで黒緋に殴りかかりました。
岩石のような拳が黒緋に襲い掛かったけれど。
「そうだな、術は使えないままだ。さすが羅紗染といったところか。だが、術を使えなくてもなんの問題もない」
「え? ッ、ガハア……!!」
ドゴオオオオッ!!!!
瞬間、黒緋の強烈な拳が鬼神の腹を貫きました。
「俺は術より体術のほうが得意でな。殴り合いは分かりやすくていい」
そう言って黒緋がゆっくり腹部から拳を引き抜くと、鬼神の腹にぽっかりと穴が開いていました。
鬼神は混乱したように腹の穴と黒緋を交互に見ます。
「ど、どういうことだっ。人間風情がどうしてっ……! 貴様、神の名を冠するこの儂を、天の眷属に連なるこの儂を、こ、殺してもいいと思っているのか! 天が、天帝がそれを許さんぞ……!!」
鬼神はそう声を荒げながらもガクガク震えながら後ずさりました。
黒緋との圧倒的な差に混乱し、惨めにも天帝に縋ることで脅してきたのです。
しかしその脅しに黒緋は可笑しそうに笑いだしました。
「ハハハハッ、天帝が許さないか」
「な、なにがおかしい……!」
「いや、笑ったりしてすまない。たしかに神の名を持つ鬼神は天の眷属だ。だが心配は無用だぞ」
「き、貴様、なにをっ……」
混乱する鬼神に黒緋がニヤリと笑います。そして。
「なぜなら、天帝はここにいるからな」
ドゴオオオオオッ!!!!
鬼神の顔に黒緋の拳がめりこみました。
鬼神の巨体が吹っ飛び、断末魔すらあげることなく体が消滅していきます。
砂塵となった鬼神が風とともに消えると、黒緋がゆっくり私を振り返りました。
「ああ、離してやろう」
ドズンッ!!
黒緋が鬼神の顔面を鷲掴みしたまま地面に巨体を叩きつけました。
衝撃に地面が震動し、鬼神が「カハッ、ア、ア……」と小刻みに痙攣しています。
私と紫紺の金縛りが解けてその場にへたり込んでしまう。
呆然と黒緋を見つめました。
「黒緋様……」
「鶯、大丈夫か? 紫紺は……、ああ平気そうだな」
黒緋は紫紺の様子をたしかめて安堵の顔になります。
そしてゆっくりと鬼神の前に立ちました。
「おのれぇ、金縛りを解いたのかっ。だが金縛りが解けたところで術が使えなくては意味がない。術を使えぬ陰陽師など無力な人間! 死ね、陰陽師!!」
鬼神が猛烈な勢いで黒緋に殴りかかりました。
岩石のような拳が黒緋に襲い掛かったけれど。
「そうだな、術は使えないままだ。さすが羅紗染といったところか。だが、術を使えなくてもなんの問題もない」
「え? ッ、ガハア……!!」
ドゴオオオオッ!!!!
瞬間、黒緋の強烈な拳が鬼神の腹を貫きました。
「俺は術より体術のほうが得意でな。殴り合いは分かりやすくていい」
そう言って黒緋がゆっくり腹部から拳を引き抜くと、鬼神の腹にぽっかりと穴が開いていました。
鬼神は混乱したように腹の穴と黒緋を交互に見ます。
「ど、どういうことだっ。人間風情がどうしてっ……! 貴様、神の名を冠するこの儂を、天の眷属に連なるこの儂を、こ、殺してもいいと思っているのか! 天が、天帝がそれを許さんぞ……!!」
鬼神はそう声を荒げながらもガクガク震えながら後ずさりました。
黒緋との圧倒的な差に混乱し、惨めにも天帝に縋ることで脅してきたのです。
しかしその脅しに黒緋は可笑しそうに笑いだしました。
「ハハハハッ、天帝が許さないか」
「な、なにがおかしい……!」
「いや、笑ったりしてすまない。たしかに神の名を持つ鬼神は天の眷属だ。だが心配は無用だぞ」
「き、貴様、なにをっ……」
混乱する鬼神に黒緋がニヤリと笑います。そして。
「なぜなら、天帝はここにいるからな」
ドゴオオオオオッ!!!!
鬼神の顔に黒緋の拳がめりこみました。
鬼神の巨体が吹っ飛び、断末魔すらあげることなく体が消滅していきます。
砂塵となった鬼神が風とともに消えると、黒緋がゆっくり私を振り返りました。