愛なき政略結婚は愛のはじまりでした
「ありがとう、雅。ありがとう。今の君にはまだ難しいのだろうが、いつか私に文句を言える君になってほしい」
「文句だなんて……」
「君は君の心に自由であってほしいということだ」

 それがどういうことなのか、いまいちピンとはこなかったけれど、清隆がそう望むのならば、それに従ってみたいと、雅は小さく「はい」と肯定の言葉を返した。

 清隆はそれに満足そうに頷きつつ、さらなる驚きの言葉を放ってくる。

「雅。君に初めに言った言葉は撤回する。私は君に干渉されたい。もっと私に関わってほしい。同じものを返してほしいだなんて言わないから、どうかこれからも私のそばにいてくれないだろうか?」
「もちろんです。望まれるかぎりは清隆さんのおそばにおります」

 雅のその回答に、清隆はなぜだか切なそうな笑みを浮かべたが、すぐに真剣な表情に戻して、強い強い想いを雅へ語りだす。
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