愛なき政略結婚は愛のはじまりでした
 そして、夜になれば、二人の間にはグッと甘くて濃厚な空気が漂いだした。

 昨日は、移動で疲れていたのもあり、二人は体を重ねることなく眠りについたが、今日は二人ともがそれを意識している。

「雅。今日は一段と君を愛したい。受けれいてくれるか?」
「はい」
「では、いつも通り怖くなったときはすぐに教えてくれ」
「はい」

 いつもの体勢でそれが始まる。けれど、いつもとは違って、清隆の声はとても甘く、何度も「雅、愛している」と囁いてくる。その囁きが届くたびに、雅の体は甘く疼いていく。

 清隆の触れ方もいつもよりずっと濃厚で、心も体もどんどん昂っていく。

 清隆の息もいつもより荒くて、彼が興奮しているのが伝わってくる。

「はあ、雅。雅」

 荒い口づけに必死に答えていれば、ベッドへと押し倒される。清隆からの強い想いが自身に流れ込んできて、雅の想いも溢れだす。

 清隆との間にある少しの距離がもどかしくて、強く彼に縋りつけば、清隆は突然我に返ったような表情になり、勢いよく雅を抱き起した。
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