愛なき政略結婚は愛のはじまりでした
「っ。すまない。怖かっただろ? すまなかった」
雅には何のことだか理解できない。清隆から与えられるものを受け取るのに必死だったから、今のこの状況をすぐには理解できなかったのだ。
けれど、申し訳なさそうな表情をしている清隆を見ていれば、過去に同じことがあったのを思いだして、彼が雅を押し倒してしまったことを謝罪しているのだとようやくわかった。
雅は状況を理解すると、すぐに清隆に向かって微笑み、「大丈夫です」と返した。だって、雅は本当に大丈夫だったのだから。
だが、清隆にはそれが正しく伝わっていないらしい。
「本当にすまなかった」
清隆は再びそう謝って、苦しそうな表情を浮かべている。
雅が求めているのは謝罪なんかではない。そんな苦しい表情をしてほしいわけでもない。
雅は、今度こそ、自分の思っていることが正しく伝わるように、彼に今の気持ちをはっきりと伝えた。
「違います。本当に大丈夫なんです。怖くありませんでした。だから、もう一度してみてもらえないでしょうか?」
「っ!? だが、それは……」
「お願いします。もう一度」
「……わかった。怖くなったらすぐに言うんだぞ?」
「はい」
今度は先程とは違い、ゆっくりと押し倒される。清隆が心配そうな瞳で雅のことを上から見つめている。その瞳を見ていれば、雅は愛しいという想いが胸いっぱいに広がっていった。
「雅? 平気か?」
「はい。平気です。怖くありません。清隆さんは怖くない。清隆さんだからちっとも怖くありません」
「っ。雅。愛している、雅」
そこからはもう夢中だった。いつもよりも強く激しく求められ、雅は強い悦びに支配されていく。雅も彼を求めてやまない。どれだけ体を重ねても全然足りなくて、二人は夜が更けるまで深く深く愛し合った。
眠りにつく頃には、体いっぱい、心いっぱいに幸せな気持ちが充満していたけれど、昼に少しだけ感じた不安はまだ残っていた。
そして、その小さな不安が現実のものとして雅を襲ってくるのは、それから間もなくのことであった。
雅には何のことだか理解できない。清隆から与えられるものを受け取るのに必死だったから、今のこの状況をすぐには理解できなかったのだ。
けれど、申し訳なさそうな表情をしている清隆を見ていれば、過去に同じことがあったのを思いだして、彼が雅を押し倒してしまったことを謝罪しているのだとようやくわかった。
雅は状況を理解すると、すぐに清隆に向かって微笑み、「大丈夫です」と返した。だって、雅は本当に大丈夫だったのだから。
だが、清隆にはそれが正しく伝わっていないらしい。
「本当にすまなかった」
清隆は再びそう謝って、苦しそうな表情を浮かべている。
雅が求めているのは謝罪なんかではない。そんな苦しい表情をしてほしいわけでもない。
雅は、今度こそ、自分の思っていることが正しく伝わるように、彼に今の気持ちをはっきりと伝えた。
「違います。本当に大丈夫なんです。怖くありませんでした。だから、もう一度してみてもらえないでしょうか?」
「っ!? だが、それは……」
「お願いします。もう一度」
「……わかった。怖くなったらすぐに言うんだぞ?」
「はい」
今度は先程とは違い、ゆっくりと押し倒される。清隆が心配そうな瞳で雅のことを上から見つめている。その瞳を見ていれば、雅は愛しいという想いが胸いっぱいに広がっていった。
「雅? 平気か?」
「はい。平気です。怖くありません。清隆さんは怖くない。清隆さんだからちっとも怖くありません」
「っ。雅。愛している、雅」
そこからはもう夢中だった。いつもよりも強く激しく求められ、雅は強い悦びに支配されていく。雅も彼を求めてやまない。どれだけ体を重ねても全然足りなくて、二人は夜が更けるまで深く深く愛し合った。
眠りにつく頃には、体いっぱい、心いっぱいに幸せな気持ちが充満していたけれど、昼に少しだけ感じた不安はまだ残っていた。
そして、その小さな不安が現実のものとして雅を襲ってくるのは、それから間もなくのことであった。