愛なき政略結婚は愛のはじまりでした
「雅。ほら、ちゃんと嫌なことは嫌だと口にするんだ。ん?」
雅がレース編みをして、清隆は映画を観ていたはずなのに、清隆は映画そっちのけで雅を構っている。清隆が雅の肩を抱き寄せ、雅の横顔にこれでもかと口づけてくるものだから、雅は編み物どころではない。
清隆は雅に『嫌だ』と言わせたいのだろうが、この状況で言えるわけがない。だって、ちっとも嫌ではないのだから。雅は清隆からの執拗な口づけをただただ受け入れるばかりである。
「雅。レース編みの邪魔はされたくないだろ?」
「そうですが……でも、嫌ではないですから、嫌とは言えません」
「嫌ではないのか?」
「はい」
正直に答えれば、清隆はなぜだか驚いた表情をしている。雅にはそれが解せなかった。雅が清隆に触れられて嫌だと思うわけがないのに。
「君はどうして、そうかわいいんだ? ふふっ。悪かった。もう邪魔はしないから、ゆっくり続きを楽しんでくれ」
清隆は優しく雅の頭を撫でると映画鑑賞に戻ってしまった。
雅がレース編みをして、清隆は映画を観ていたはずなのに、清隆は映画そっちのけで雅を構っている。清隆が雅の肩を抱き寄せ、雅の横顔にこれでもかと口づけてくるものだから、雅は編み物どころではない。
清隆は雅に『嫌だ』と言わせたいのだろうが、この状況で言えるわけがない。だって、ちっとも嫌ではないのだから。雅は清隆からの執拗な口づけをただただ受け入れるばかりである。
「雅。レース編みの邪魔はされたくないだろ?」
「そうですが……でも、嫌ではないですから、嫌とは言えません」
「嫌ではないのか?」
「はい」
正直に答えれば、清隆はなぜだか驚いた表情をしている。雅にはそれが解せなかった。雅が清隆に触れられて嫌だと思うわけがないのに。
「君はどうして、そうかわいいんだ? ふふっ。悪かった。もう邪魔はしないから、ゆっくり続きを楽しんでくれ」
清隆は優しく雅の頭を撫でると映画鑑賞に戻ってしまった。