愛なき政略結婚は愛のはじまりでした
 そして、雅の望むものは得られないまま、無情にも時は過ぎていき、ついに結婚から一年の時が経った。本来であれば、結婚一周年の喜ばしい日である。

 だが、記念のその日に、雅にもたらされたのは吉報ではなく凶報であった。下腹部の鈍痛と赤いそれが、雅がその役目を果たせなかったことを知らせる。

 よりにもよって結婚一周年のその日に、雅は最も大事なものを失う未来を突きつけられたのだ。

 残酷な結果に打ちひしがれる。何も考えられなくて、ただ呆然と座り込む。

 そんな雅に追い打ちをかけるように、雅の前に姿を現したのは義母と見知らぬ若い女性であった。
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