愛なき政略結婚は愛のはじまりでした
第六章 迫る危機
 二階建てのアパートには、玄関ドアが一階にしかついておらず、二階に続く階段はどこにも見当たらない。メゾネットタイプと呼ばれる住宅だろうか。

 雅は目的の部屋のドアの前まで行くと恐る恐るインターホンを鳴らしてみた。

 しかし、しばらく待ってみても中から人が出てくる気配はない。日は暮れ始めているが、まだ家主は帰ってきていないようだ。

 一人きりでここにいるのは心細いが致し方ない。雅は家主が帰ってくるまで大人しく待つことに決め、持っていた荷物を地面へと下ろした。

 雅がマンションを追い出されてからは一時間くらいが経過していた。
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