愛なき政略結婚は愛のはじまりでした
『雅、すまないが少し確認してほしいことがある。君の携帯電話を手元に用意できるだろうか?』
雅は急に話題が変わったことに戸惑いつつも、すぐに自分の携帯電話を手に取り『用意しました』と答える。
『私からの着信履歴があるか確認してみてもらえるか?』
清隆からの着信はなかったはずだがと思いつつ、言われた通りに履歴を開いてみれば、やはり清隆からの着信履歴はない。
『一件もありません』
『やはり……私は昨日も今日も何度も電話をかけているんだ』
『え? ですが、本当に一件も……』
昨日も、今日も清隆どころか誰からの着信もない。清隆がかけ間違いをするとも思えないし、いったいどういうことだろうと困惑していれば、清隆が恐ろしい推察を始める。
『私の番号が着信拒否されていないか確認してみてくれ』
まさかそんなことがあるわけないと思いつつ、誠一郎に教えてもらいながら設定を確認してみれば、確かに着信拒否の設定がされていた。それどころかメッセージまでブロックされている。
『……着信拒否されていました。それにメッセージもブロックされています』
『はあー、やはりな。連絡先を消されたときに、一緒に着信拒否もされていたんだろう』
『そんな……』
『どうやら私たちを別れさせることに余程の執着があると窺える。向こうがどんな手段を使ってくるかわからない。どうか十分に用心してくれ』
『……はい。気をつけます』
ここにはいない義母からの憎悪のようなものを感じて雅は思わず身を震わせる。雅のその恐怖心を察してくれたのか、誠一郎が雅の肩へそっと手を添えてくれる。自分を守ろうとしてくれている二人の存在があることを思い出して、雅は大丈夫だと自分に言い聞かせて大きく息を吐いた。
その後、清隆とはもう少しだけ会話をしてから、その通話を終えた。
未だ大きな不安はあれど、清隆がいくつもの優しい言葉をかけてくれたから、きっと大丈夫だと思える。必ず清隆が迎えに来てくれると信じて、今はとにかくここで待っていようと気持ちを固くした。
雅は急に話題が変わったことに戸惑いつつも、すぐに自分の携帯電話を手に取り『用意しました』と答える。
『私からの着信履歴があるか確認してみてもらえるか?』
清隆からの着信はなかったはずだがと思いつつ、言われた通りに履歴を開いてみれば、やはり清隆からの着信履歴はない。
『一件もありません』
『やはり……私は昨日も今日も何度も電話をかけているんだ』
『え? ですが、本当に一件も……』
昨日も、今日も清隆どころか誰からの着信もない。清隆がかけ間違いをするとも思えないし、いったいどういうことだろうと困惑していれば、清隆が恐ろしい推察を始める。
『私の番号が着信拒否されていないか確認してみてくれ』
まさかそんなことがあるわけないと思いつつ、誠一郎に教えてもらいながら設定を確認してみれば、確かに着信拒否の設定がされていた。それどころかメッセージまでブロックされている。
『……着信拒否されていました。それにメッセージもブロックされています』
『はあー、やはりな。連絡先を消されたときに、一緒に着信拒否もされていたんだろう』
『そんな……』
『どうやら私たちを別れさせることに余程の執着があると窺える。向こうがどんな手段を使ってくるかわからない。どうか十分に用心してくれ』
『……はい。気をつけます』
ここにはいない義母からの憎悪のようなものを感じて雅は思わず身を震わせる。雅のその恐怖心を察してくれたのか、誠一郎が雅の肩へそっと手を添えてくれる。自分を守ろうとしてくれている二人の存在があることを思い出して、雅は大丈夫だと自分に言い聞かせて大きく息を吐いた。
その後、清隆とはもう少しだけ会話をしてから、その通話を終えた。
未だ大きな不安はあれど、清隆がいくつもの優しい言葉をかけてくれたから、きっと大丈夫だと思える。必ず清隆が迎えに来てくれると信じて、今はとにかくここで待っていようと気持ちを固くした。