愛なき政略結婚は愛のはじまりでした
 結局、何日経っても清隆からは何も求められず、ただただ家で一人で過ごす日々は続いていき、気がつけば、あの失敗からひと月の時間が経過していた。

 いつここから追い出される日が来るかわからないと、雅はもう気が気でない。まるで生きた心地がしない。

 政略結婚である以上、そう簡単に離婚なんてことにはならないだろうが、表面だけ取り繕って、雅自身をどこかへ追いやってしまうことは可能であろう。

 本当にこのままでいては、いずれ実家へ送り返される日も遠くないとそう思える。

 雅自ら挽回のチャンスを請う方法もあるのかもしれないが、干渉するなと言われている以上はそれも簡単にはできない。雅はただ不安を募らせるばかりである。

 しかし、雅のそんな不安をよそに、清隆は意外な方向から雅へ妻としての役割を求めてきた。
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