愛なき政略結婚は愛のはじまりでした

　清隆から挨拶をしてくれるようになったというのもそうだが、それだけではなくて、同じ時間に食卓に着いたときに、ほんの些細なやりとりが起こるようになった。

　食後の少しの時間に会話が生まれるようになったのだ。いつも清隆から話しかけてくれる。

　会話をするといっても、本当に少しの時間だから、大した話ができるわけではない。そのときの食事の話だとか天気の話だとかそんな当たり障りのないものや、清隆の予定の話といったすぐに終わってしまうものがほとんどだ。それでも、それを何度も繰り返していれば、次第に会話をすることが自然になった。

　雅は最初こそ、清隆のその変化に戸惑っていたものの、清隆との会話の時間はとても心地のいいものであったから、いつの間にやらその時間を純粋に楽しむようになっていた。今ではその時間が待ち遠しいくらいだ。

　そして、それは今日も例外なく行われる。