愛なき政略結婚は愛のはじまりでした
「君はいつも家にいる間、何をしているんだ?」
珍しい。雅のことを訊いてくるのは初めてだ。
「今は、鳴海さんに用意していただいた資料を中心にファッション業界について学んでいます」
清隆の妻となったからには、その方面の知識も必要だろうと、鳴海に頼んで必要なことを学んでいる。鳴海にお願いをしている以上、清隆にもそのことは伝わっていると思っていたのだが、なぜか清隆は面食らったような顔をしている。
「それはありがたいが……私が訊きたいのはそういうことではない。君はどういうふうに過ごすのが好きなんだ?」
その質問は雅にとってとても難しいものであった。雅はもうずっと長いこと好き嫌いを基準にして動いてはいないのだ。求められているか、いないか、その基準でしか動いていない。だから、雅はその質問の答えを持ち合わせていない。
雅が答えに窮して、何も言葉を紡ぎだせないでいれば、清隆は続けざまに質問を重ねてくる。
珍しい。雅のことを訊いてくるのは初めてだ。
「今は、鳴海さんに用意していただいた資料を中心にファッション業界について学んでいます」
清隆の妻となったからには、その方面の知識も必要だろうと、鳴海に頼んで必要なことを学んでいる。鳴海にお願いをしている以上、清隆にもそのことは伝わっていると思っていたのだが、なぜか清隆は面食らったような顔をしている。
「それはありがたいが……私が訊きたいのはそういうことではない。君はどういうふうに過ごすのが好きなんだ?」
その質問は雅にとってとても難しいものであった。雅はもうずっと長いこと好き嫌いを基準にして動いてはいないのだ。求められているか、いないか、その基準でしか動いていない。だから、雅はその質問の答えを持ち合わせていない。
雅が答えに窮して、何も言葉を紡ぎだせないでいれば、清隆は続けざまに質問を重ねてくる。