愛なき政略結婚は愛のはじまりでした
静かで温かな時間が過ぎていく。リビングへ移動してからは一時間くらいが経過していた。少し疲れて手元から目を離して顔を上げれば、隣から視線を感じる。もしかしてと思って清隆のほうへ顔を向ければ、清隆は雅の手元をじっと見つめている。やはり清隆は快く思わなかったのかもしれないと雅は不安になった。
「レース編みをしてはいけなかったでしょうか?」
雅がそう問えば、清隆はなんとも不思議そうな顔をしている。
「なぜそう思う?」
「こちらを気にされているようでしたので」
「ああ。君のそれを見ているのが面白かっただけだ。それが君の本当の趣味か?」
清隆から不快な感情は窺えない。清隆はなぜだか期待に満ちたような表情をしていて、雅はその表情に困惑しながらも「はい」と返した。
「そうか。いい趣味だな。顔合わせのときにも隠す必要はなかっただろうに」
雅の趣味を認めるその言葉に雅は軽く目を見開く。雅自身もそんなに隠す必要のあるものではないとは思っていたのだが、父が嫌っている以上はそれが常識なのだと思い込んでいた。
急に自分の思っていたことが正しかったと認められたような感じがして、雅はそれを確かめたくなってしまう。
「レース編みをしてはいけなかったでしょうか?」
雅がそう問えば、清隆はなんとも不思議そうな顔をしている。
「なぜそう思う?」
「こちらを気にされているようでしたので」
「ああ。君のそれを見ているのが面白かっただけだ。それが君の本当の趣味か?」
清隆から不快な感情は窺えない。清隆はなぜだか期待に満ちたような表情をしていて、雅はその表情に困惑しながらも「はい」と返した。
「そうか。いい趣味だな。顔合わせのときにも隠す必要はなかっただろうに」
雅の趣味を認めるその言葉に雅は軽く目を見開く。雅自身もそんなに隠す必要のあるものではないとは思っていたのだが、父が嫌っている以上はそれが常識なのだと思い込んでいた。
急に自分の思っていたことが正しかったと認められたような感じがして、雅はそれを確かめたくなってしまう。