愛なき政略結婚は愛のはじまりでした
「そう、でしょうか?」
「ああ。むしろなぜ隠さないといけないんだ? まあ、私からすれば生け花もそれも大して印象は変わらないが、我々の業界を考えればこちらのほうが受けがいいとは思わなかったのか?」
清隆の言わんとすることはわかったが、父が絶対的な正義であった雅にとっては簡単にそうだと頷くことはできない。けれど、自分の中にあった違和感が解消されていくような感覚があって、雅は自分の胸に手を当てながらその不思議な感覚を確かめていた。
「ふっ。君の価値観は時々よくわからないな。まあいい。最近はよくそれをやっていたのか?」
それに対する回答は否である。だが、その回答はきっと清隆の望むものではない。好きなことをしろとあれだけ強く言っていたのだから。
それでも雅が清隆に嘘をつくことなんてできなくて、雅は躊躇いながらも正直な回答を口にする。
「……いえ。今日が初めてです」
「そうか」
清隆はそれだけ言って、特に責めるようなことは言ってこなかった。けれど、彼の表情から、やはりあまりよくは思っていないことが伝わってくる。
雅はとても悪いことをした気持ちになって気が落ち込んでくる。
そんな雅に、清隆は真っ直ぐに視線を向けてくると、優しい声音で言葉をかけてきた。
「ああ。むしろなぜ隠さないといけないんだ? まあ、私からすれば生け花もそれも大して印象は変わらないが、我々の業界を考えればこちらのほうが受けがいいとは思わなかったのか?」
清隆の言わんとすることはわかったが、父が絶対的な正義であった雅にとっては簡単にそうだと頷くことはできない。けれど、自分の中にあった違和感が解消されていくような感覚があって、雅は自分の胸に手を当てながらその不思議な感覚を確かめていた。
「ふっ。君の価値観は時々よくわからないな。まあいい。最近はよくそれをやっていたのか?」
それに対する回答は否である。だが、その回答はきっと清隆の望むものではない。好きなことをしろとあれだけ強く言っていたのだから。
それでも雅が清隆に嘘をつくことなんてできなくて、雅は躊躇いながらも正直な回答を口にする。
「……いえ。今日が初めてです」
「そうか」
清隆はそれだけ言って、特に責めるようなことは言ってこなかった。けれど、彼の表情から、やはりあまりよくは思っていないことが伝わってくる。
雅はとても悪いことをした気持ちになって気が落ち込んでくる。
そんな雅に、清隆は真っ直ぐに視線を向けてくると、優しい声音で言葉をかけてきた。