愛なき政略結婚は愛のはじまりでした
「っ。雅」
清隆の手はその場にとどまり、今度は彼の顔が徐々に近づいてくる。間近でもう一度「雅」と呼ばれてすぐに、三回目のキスがやってきた。三回目のそれはすごくドキドキとする。胸が締め付けられるように苦しい。けれど、不思議と終わってほしくはない。
ゆっくりと唇が離れて、至近距離で見つめ合ったかと思えば、すぐに四回目、五回目が舞い降りてくる。そして、そのあとはもう数えられない。
経験したことのない口づけを施されて、雅はただただされるがままに受け入れるしかない。頬にあった清隆の手は首の後ろへと周り、反対の手は雅の腰へと回って、雅をグッと引き寄せる。
経験はなくともこの先を予感させるのには十分な口づけに雅の心は舞い上がる。
もう一度チャンスがもらえる。妻としての義務を果たせる。
でも、それだけではなくて、ただ純粋に清隆に自分をもらってほしいという思いが募る。彼だけのものになってしまいたい。そんな欲が湧き起こる。
自分でももうよくわからないくらい興奮してしまって、雅は思わず清隆の服の袖を握り込み、甘い声を漏らしながら縋りついた。
その瞬間。グッと体を引き離された。
「すまない。悪かった」
清隆はなぜか謝罪の言葉を残して、去っていこうとする。
今を逃してしまってはまずい。雅は咄嗟にそう思った。慌てて清隆の服の裾を掴む。
「お待ちください。して、ください」
「いや、しかし」
「お願いします」
「……わかった。では、今日は寝室で待っていてくれるか?」
「はい」
清隆の瞳には熱が宿っていて、雅は今日こそ先へ進めるのだと確信した。
清隆の手はその場にとどまり、今度は彼の顔が徐々に近づいてくる。間近でもう一度「雅」と呼ばれてすぐに、三回目のキスがやってきた。三回目のそれはすごくドキドキとする。胸が締め付けられるように苦しい。けれど、不思議と終わってほしくはない。
ゆっくりと唇が離れて、至近距離で見つめ合ったかと思えば、すぐに四回目、五回目が舞い降りてくる。そして、そのあとはもう数えられない。
経験したことのない口づけを施されて、雅はただただされるがままに受け入れるしかない。頬にあった清隆の手は首の後ろへと周り、反対の手は雅の腰へと回って、雅をグッと引き寄せる。
経験はなくともこの先を予感させるのには十分な口づけに雅の心は舞い上がる。
もう一度チャンスがもらえる。妻としての義務を果たせる。
でも、それだけではなくて、ただ純粋に清隆に自分をもらってほしいという思いが募る。彼だけのものになってしまいたい。そんな欲が湧き起こる。
自分でももうよくわからないくらい興奮してしまって、雅は思わず清隆の服の袖を握り込み、甘い声を漏らしながら縋りついた。
その瞬間。グッと体を引き離された。
「すまない。悪かった」
清隆はなぜか謝罪の言葉を残して、去っていこうとする。
今を逃してしまってはまずい。雅は咄嗟にそう思った。慌てて清隆の服の裾を掴む。
「お待ちください。して、ください」
「いや、しかし」
「お願いします」
「……わかった。では、今日は寝室で待っていてくれるか?」
「はい」
清隆の瞳には熱が宿っていて、雅は今日こそ先へ進めるのだと確信した。