愛なき政略結婚は愛のはじまりでした
 初日の昨日は、清隆の運転する車で自宅から別荘へと向かい、到着したあとは別荘でのんびりと過ごした。

 二日目の今日は、清隆が朝からドライブに連れて行ってくれて、先程この海の見えるレストランで少し遅めの昼食を済ませてきたところだ。

 食事中、雅が頻りに海を眺めていたからか、清隆から海まで歩いてみようかと提案されて、今二人は砂浜に続く階段の上に立ち、そこから並んで海を見つめている。

「雅。砂浜まで下りてみようか」

 その言葉に頷くと、清隆が雅へ向けて手を差し出してくれる。雅がそっと手を乗せれば、清隆はゆっくりと階段を下りはじめた。清隆はそのまま砂浜まで優しくエスコートしてくれる。二人して砂浜に下り立てば、清隆は優しく雅の手を握り、ゆっくりと歩きはじめた。雅もそれについてゆっくりと歩く。

 波打ち際へ向かって歩を進めれば、次第に波の音が大きくなる。ザーッ、ザーッと耳障りに感じるくらいの音がする。その音に誘われるように二人はさらに海へと近づいていく。

 そうして波打ち際すぐの濡れない程度の位置まで到達すれば、清隆はようやくその歩みを止める。雅も彼の横に寄り添うようにしてその足を止めた。
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