一夜を共にしたかつての片思い相手は、優秀外科医だった。〜憧れの君と私の夢〜
「父さん、母さん。これもらったんだけどどうしたらいい? 誰が書いたのかわからないから返事も出せないというか」
「どれどれ……へえ、成哉これラブレターじゃないの」
「母さんどういう事?」
「女の子が好きだと思った男の子へ書いて送る手紙の事。勿論逆もあるし男の子同士女の子同士だってあるわよ」
「好きってどういう事?」

 そう成哉が質問すると、母親はうまく答えが出てこずに黙ってしまった。

「そうねえ……なんて言ったらいいのかしら。あなたはどう思う?」
「うん……結婚したいって思うような人かな。結婚したら基本死ぬまで一緒だし、死ぬまで一緒にいたいと思えるような相手と言ったらいいのかな? すまんがこっちもなんて言ったらいいのか……」
「そっか……難しいんだね。そんなの考えられないや」
「まあな。それに手紙には差出人が書いてないんだろう。もっかい確認しよう……やっぱりないな。縦読みみたいなのも無いし」
「それ、どうしたらいい?」
「黙ったままでいいと思うよ。差出人が誰か書いていないからどうする事も出来ない。代わりに誰かに言われたらそう正直に言ったらいいんだ。誰か分からないから返事が出来ないって」
「じゃあ、これからこういう手紙貰ったらどうすればいいの?」

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