一夜を共にしたかつての片思い相手は、優秀外科医だった。〜憧れの君と私の夢〜
「すごいでしょ? ほら、読んでみなって!!」
「わ、わかった……」

 そう迫られたらもう読むほかない。とりあえずぱらぱらとめくりながら、ざっくりと目を通す。

(頑張ってるんだ)
「ね、すごいでしょ!?」
「うん、すごい……すごいと思う」

 その後、仕事が終わって私は自宅へと帰宅した。勿論、帰る途中で病院のコンビニで夕食を購入したのでそれらをレンジで温めて食べる。

「いただきます」

 1人だけの部屋。もう慣れてはいるが、窓から見えるツインタワーを見ると、どこかほんの少し寂しくなる自分がいた。
 小さな食卓テーブルには、買ってきた夕食と書類にパンフレットが山積みになっている。これらの書類は全て、大学や専門学校と言った調理系の学校のもの。

(……仕事頑張ってお金稼いで、学校に行くんだ……)

 今はあの病院のカフェで働いているが、ゆくゆくは独立して自分のお店を持ちたいと考えている。その為にはキャリアを積んで、学校で調理やその他諸々について勉強をしたい。今はキャリアを積みお金を稼いでいる段階だ。

(小さい頃から喫茶店開くの、夢だったんだよなあ……)

 そう考えると、自身の夢を叶えた成哉は、キラキラ輝いているのと同時に羨ましく思える。
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