一夜を共にしたかつての片思い相手は、優秀外科医だった。〜憧れの君と私の夢〜
「はーーい、お疲れちゃんでした!」
「はあっ……はあっ……お疲れ様でした……ありがとうございました」

 全ての種目が終わる頃には私は全身ドロドロの汗だくになっている。それだけ彼女の考えるトレーニングはきっついものだ。
 だが、このトレーニングは着実に成果が出ていると理学療法士の2人は語る。

「歩ける距離が増えましたよね」
「今は装具が必要ですけど、将来的には装具無しでも歩けるようになるかもしれないです」

 装具無しでも歩けるという田中さんの言葉に、私は本当ですか? と問うと田中さんは何度も頷いた。それに宇田さんも田中さんの言う通りだと語る。

「ゴールは勿論装具無しで歩ける。ですからね。愛海さんカフェ開くんでしょ? なんならより装具無しで歩けるようになった方がいいっしょ」

 確かにそうだ。あちこち歩き回らないといけないので出来れば装具無しで歩けるようになった方が良い。

「私オープンしたら絶対行きます。兄も息子も連れてね。なんで頑張って下さい。私も頑張るんで」

 そう宇田さんから熱の籠もった視線をバチバチと向けられたら頑張らないと! と思えてくる。

「頑張ります。明日もよろしくお願いします!」
「オッケ! じゃあ松崎さん田中さん後はよろしくお願いします」

 こうして今日のトレーニングは無事終了したのだった。

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