一夜を共にしたかつての片思い相手は、優秀外科医だった。〜憧れの君と私の夢〜

（やっぱり、藤堂くんと私はいる世界が違うんだ）

　だが、私も夢をあきらめる気はない。だって幼い頃から描いてきた夢だ。今はまだまだだけど、こつこつと頑張っていくしかない。
　私は夕食を食べ終えてごみを捨てると休憩してシャワーを浴び、資格取得に向けての勉強を始める。

（ここ最近、出来てなかったからな……）

　ベッドに入ったのは日付が変わる前。こうしてひと眠りした後、また朝が来る。朝が来たらテレビを付けながら朝食と弁当作りを進めていく。
　弁当は冷凍食品ばかりにならないように気を付けているが、野菜の高騰もあってバランスが難しい。ベリが丘のスーパーで販売されている食品は高級志向ゆえかどれもお高めなので、明日の休日は隣町の業務用スーパーで買い溜めをする必要がある。

「出来た」

　弁当の食材の余りと味噌汁にご飯を、テレビの映るニュース画面を見ながら食べ進めていく。テレビ画面にはベリが丘の街に新たにオープンした喫茶店が紹介されていた。
　きらびやかで、サンドイッチが主体の喫茶店。雰囲気も内装も何もかもがキラキラしていてもはや眩しい。

（正直、私にこの街は向いてないかもしれない）

　こういうのを見る度に段々と思考回路がネガティブになっていく。ので、チャンネルを変えた。チャンネルを変えた先に映っていたのは白いオカメインコの動画。

（可愛い～）

　こういう動物の動画を見ると、可愛くて癒される。動画内でオカメインコはおもちゃをくちばしで掴んで投げたり、飼い主と一緒に歌を歌ったり合いの手を入れたりしている。
　朝食を食べ終えると、ささっと着替えてメイクを済ませて出勤する。街はサラリーマンやOLらでごったがえしている状態だ。

「おはようございますー」
「堀田さんおはよー」
「先輩よろしくお願いします」