一夜を共にしたかつての片思い相手は、優秀外科医だった。〜憧れの君と私の夢〜
 そして、私の口から答えが出た。

「ごめん、いけないや」

 その言葉に、成哉は仕方ないといった表情で頷いたのだった。

「わかった。じゃあ」

 そのまま解散し、私は休憩に戻ると後輩から何の話だったんですか?と聞かれた。

「同窓会の話」
「堀田さん、行くんですか?」
「行かない。だってシフトとかわかんないし」
「そうなんですね、私はこないだベリが丘のホテルで同窓会行ってきたんです?」

 後輩が見せてくれたのは、ベリが丘のホテルの最上階にあるレストランだ。シックで高級感ある内装で行われた立食形式の同窓会は、それはそれはラグジュアリーで贅沢な雰囲気だったそうだ。
 それを語る後輩の鼻息は荒い。

「いやあ、すごかったですよ。同級生何人かここで暮らしてるみたいで。私も早く結婚してこのベリが丘で暮らしたいです。マジで」
「そうなんだ……」
「堀田さん、私、結婚出来ると思いますか?!」

 突如、後輩からがっつかれる私。まあ、この子ならいつかは結婚出来そうな気はするが……

「出来ると思うよ」
「ほんとですか?!」
「ほんとほんと」

 こうして、昼の休憩が終わりまた業務に戻るのだった。

(結婚ねえ)
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