一夜を共にしたかつての片思い相手は、優秀外科医だった。〜憧れの君と私の夢〜
 テストの結果。赤点を阻止したどころか、私は学年全体で半分より上の成績を取る事に成功した!

「やった!」

 苦手だった英語と数学も、まずまずの点数を取る事が出来た。しかも想定以上の点数だったのだ。

(藤堂くんのおかげだ)

 私は早速彼にお礼を言いに行った。

「藤堂くん。勉強教えてくれてありがとう!」
「おっ、堀田。どうだった?」
「おかげさまでばっちり!」
「マジ? 良かったじゃん!」

 彼と喜びのハイタッチを交わした時が、彼に惚れた明確なタイミングだったと記憶している。
 その後も彼には幾度か、勉強を教えて貰った。だが、女子からの目線が小学校よりも厳しくなっているのは明らかだったので、なるべくカーストトップな彼女らから目をつけられないよう、目立たずにいるのがやっとだった。

「◯◯さん、藤堂くんに絡み過ぎじゃない?」
「ウッザ」
「近づくなし」
「てかさ、藤堂くん彼女いるみたいだよ?」
「まじで? 信じられん!」
「誰だよ、シメに行かないと」

 こういう本当におっかないカーストトップな一軍女子タイプは、陰で寄ってたかって容赦なくボロクソにこきおろす割には、成哉本人の目の前ではぶりっ子になるか、借りてきた猫のように大人しいというのが大体の相場な気がする。

(絶対、告白なんてムリだ!)

 こんな状況下で成哉に告白するのは、自殺行為にも近かったのだ。
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