一夜を共にしたかつての片思い相手は、優秀外科医だった。〜憧れの君と私の夢〜
 彼とちょっとくだらないかもしれない話をしながら、2階にあるゲストルームに移動した。ベッドはふかふかで、部屋も広い、私がいる自宅よりも、ベッド含め家具が大きく見えた。この部屋にはキッチンも併設されている

「広いね」
「ここ、好きな部屋の1つなんだ。自由に使って」
「冷蔵庫とか家電も良いの?」
「勿論」

 部屋に荷物を置き、そこから更にトイレと浴室も案内してもらった。トイレと浴室はゲスト専用のものらしい。

「何箇所かあるんだ」
「そうだね」

 部屋の案内が終わると、成哉から昼食に誘われる。

「何食べる?」

 食欲はあるもののまだつわりはある。何を食べるべきか迷う。

「じゃあ、うどんでも食べる? ここで作って食べよう」
「私が作るよ」
「いや、無理はさせられないし。あと手打ちうどん作れるから作っても良い?」
「作れるの?!」
「ほうとうみたいなのなら」

 それはそれで食べてみたい。私はそれを食べたいと彼に返事したのだった。

「分かった、美味しいの作ってみるから!」

 その時、成哉のスマホが鳴った。電話の主は父親、総合病院の院長だ。

「父さん? 何?」
「今からそっちに行く。話したい事があるんだ」
「話したい事?」
「ああ、昼食はもう食べたから。じゃあ」

 電話は切れた。話したい事とは何だろうか。
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