一夜を共にしたかつての片思い相手は、優秀外科医だった。〜憧れの君と私の夢〜
私からすれば予想だにしていなかった回答だった。私は思わずえっと目を丸くさせる。
「まあ、クレームつける患者はやっぱりいるもんだからある程度は仕方ないって割り切ってる。けど、先輩方や父親の方がその辺少ないと言うか、トラブルもまず無いと言うか」
「……なめられてるとか?」
「多分それはあるかもなんだよな。クレーム来ると正直ビビっちゃうし」
彼の気持ちは分かる。私だって客から遅いなどどクレームが飛んだ事はこれまで何度かあったからだ。
「やっぱクレーマーはどこにでもいるもんだよ」
「堀田もそう思う?」
「うん。カフェもちょいちょいいるよ。遅いとか高いとかね」
「……堀田もそうなんだ」
「うん、だから藤堂くんだけじゃないよ。それに、先輩方も若い頃は色々苦労あったと思うし」
「堀田……」
「だから、気にしなくてもいいんじゃないかって。勿論自分に非があるなら直さなくちゃいけないけど」
成哉は私に真っ直ぐに視線を向ける。そして何度も確かめるようにして頷いた。
「そうだ、そうだよな。ありがとう、堀田」
「あっいや……どうも」
「そうだ。愛海って呼んでいい?」
「へっ?」
いきなりの名前呼びに私は思わず目を見開きながら動揺してしまう。
「いやだって、いつまでも名字呼びもなんか違うというか」
「そ、それは確かにそうだけど……! 準備が! 心の準備が!」
「愛海ってそんなリアクションするんだ」
「……からかってる?」
「いや! そんな事ない! ああ、俺の事も成哉呼びでいいよ」
成哉はそう穏やかな笑みを浮かべながら、気さくに話してはいるがいきなり名前呼びは正直こちらとしてはハードルが高すぎる。
でも、彼の期待する目を見ると名前呼びしなければならないような、そんな感情に駆り立てられる。
「せ、成哉さん」
「いいじゃん。じゃあ、それで」
(なんだか恥ずかしい)
成哉を名前呼びした時に生まれた恥ずかしさはなんと翌朝までずっと引きずってしまったのだった。
「まあ、クレームつける患者はやっぱりいるもんだからある程度は仕方ないって割り切ってる。けど、先輩方や父親の方がその辺少ないと言うか、トラブルもまず無いと言うか」
「……なめられてるとか?」
「多分それはあるかもなんだよな。クレーム来ると正直ビビっちゃうし」
彼の気持ちは分かる。私だって客から遅いなどどクレームが飛んだ事はこれまで何度かあったからだ。
「やっぱクレーマーはどこにでもいるもんだよ」
「堀田もそう思う?」
「うん。カフェもちょいちょいいるよ。遅いとか高いとかね」
「……堀田もそうなんだ」
「うん、だから藤堂くんだけじゃないよ。それに、先輩方も若い頃は色々苦労あったと思うし」
「堀田……」
「だから、気にしなくてもいいんじゃないかって。勿論自分に非があるなら直さなくちゃいけないけど」
成哉は私に真っ直ぐに視線を向ける。そして何度も確かめるようにして頷いた。
「そうだ、そうだよな。ありがとう、堀田」
「あっいや……どうも」
「そうだ。愛海って呼んでいい?」
「へっ?」
いきなりの名前呼びに私は思わず目を見開きながら動揺してしまう。
「いやだって、いつまでも名字呼びもなんか違うというか」
「そ、それは確かにそうだけど……! 準備が! 心の準備が!」
「愛海ってそんなリアクションするんだ」
「……からかってる?」
「いや! そんな事ない! ああ、俺の事も成哉呼びでいいよ」
成哉はそう穏やかな笑みを浮かべながら、気さくに話してはいるがいきなり名前呼びは正直こちらとしてはハードルが高すぎる。
でも、彼の期待する目を見ると名前呼びしなければならないような、そんな感情に駆り立てられる。
「せ、成哉さん」
「いいじゃん。じゃあ、それで」
(なんだか恥ずかしい)
成哉を名前呼びした時に生まれた恥ずかしさはなんと翌朝までずっと引きずってしまったのだった。