一夜を共にしたかつての片思い相手は、優秀外科医だった。〜憧れの君と私の夢〜

　それから私は元のベリが丘の総合病院内にあるカフェにて働く事が決まり、更に高級住宅街にある別荘にて成哉との同居をスタートさせたのだった。
　店長や同僚らからは温かく迎え入れられたのはとてもありがたかった。と同時に、成哉との結婚についてはあまり公には言わないというルールも作られたので、これも良い事だと思う。

「無理はしないでね」
「気遣いありがとうございます」
「やっぱ堀田さんいた方がいいやって思ったよ。でも無理はしないでね！」
「あ、結婚式呼んでください。良かったらでいいので！」
　
　彼との結婚は私の両親にも話を通した。両親からはどうやって知り合ったんだとか、どうやってそんな関係になったのかなどと色々根掘り葉掘り聞かれたが、結婚自体は容認するという答えだった。
　そして目まぐるしく日は進み、結婚式を迎える事となった。式場と披露宴はベリが丘にある高級ホテルの最上階にて執り行われる。出席者は家族を含めたごく少数にしぼった。彼が業界内では有名な人物で、小中学校でのモテっぷりを考えるとあまり大人数で派手にはしたくないと言う私の意志が反映された形となったのだ。

「綺麗だね」

　メイクルームにて成哉が着飾った私を見に来てくれた。私は色々考えた結果白無垢を着る事にしたので彼も黒い紋付き袴の着物を身に纏っている。

「ありがとう」
「愛海は白無垢着たかったんだっけ。似合ってるよ」
「そう。ごめんねわがまま言って」
「いやいや、こっちも着物は普段中々着る機会無いから逆に新鮮で好きだよ。スーツは学会とかでわりとしょっちゅう着るし」