一夜を共にしたかつての片思い相手は、優秀外科医だった。〜憧れの君と私の夢〜
 成哉はまことが産まれてから2週間、育児休暇を取り私やまことの身の回りの世話をしてくれた。
 
「晩ごはん出来たよ」

 特に彼の作る料理は私にとっては癒やしになった。煮込みうどんにおじや、卵焼きに炊き込みご飯などなど。和食中心に作ってくれたがどれも美味しかった。

「美味しい……!」
「愛海の口に合うみたいで良かった」
「成哉さん、家庭科も成績良かったよね。率先して色々とやってたじゃん」
「愛海はすごい俺の事覚えているな」
「だって好きだったからね」

 その他掃除にゴミ出し、まことのおむつ替えなど沢山の事を手伝ってくれた。
 本来は彼は3週間くらい育児休暇を取りたかったようだが手術の関係などもあり、2週間だけとなった。それでも彼は育児休暇を取り八面六臂の活躍をしてくれた。そんな彼には感謝しか無い。
 更にお手伝いさんも身の回りの世話をしてくれた。お手伝いさんは大体3人くらいいて、皆中年くらいの女性で子育てには慣れていると語る。

「いつでも頼ってくださいね」
「無理しちゃだめですよ」
「何かあれば私達を呼んでください」
「ありがとうございます」

 流石はベリが丘。高級住宅街にお手伝いさんがいるというのはまさにラグジュアリーな街だ。
 私は中庭で空を見上げる。薄い雲が風でゆっくりと流されていくのが見えた。

「写真撮ろうかな」

 せっかくだったので、スマホで空の写真を撮った。アプリで彩度を上げると空が透き通るような青い色を見せる。

(綺麗だ)

 するとまことがうぅーーとぐずりだしたので慌てて彼女を抱き抱えるとピタリとぐずりが治まったが、その代わりに彼女の身体の熱さを感じる。

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