一夜を共にしたかつての片思い相手は、優秀外科医だった。〜憧れの君と私の夢〜
「えっと、受付……」

 病院に入って左側にある総合受付にある再診受付の窓口にまことの診察券を渡して受付をして患者ファイルを貰い、2階にある小児科の受付窓口に患者ファイルを渡す。

「かけてお待ちになってください」
「分かりました」

 まことが呼ばれたのは10分後。中に入り診察をすると震えはやはり寒気から来ているものらしく、バスタオルを巻いて温めるとやや落ち着いたのだった。

「呼びかけには反応してますのでただのふるえですね。お薬出しておきます」
「ありがとうございます」
「もし呼びかけに反応しなかったらけいれんの可能性がありますので気をつけてください」

 受診が終わり小児科を後にすると、廊下を歩く成哉とぱたりと遭遇した。

「あれ? まこともしかして熱?」
「うん……熱が急に」
「そっか……」

 成哉がまことの方を見ると、まことはうっすらと開いた目で成哉をじっと眺める。

「早く熱が引きますように」

 成哉がまことの額に右手を当て、早く熱が引きますようにと念をかけてくれたのだった。

「ありがとう。仕事中にごめんね」
「いやいや大丈夫。てか謝らなきゃいけないのはこっちかも。今日は遅くなりそうだから」
「そうなんだ。気をつけて。ご飯は用意しといて良い?」
「うん、お願い」

 こうして成哉と別れた後、総合受付の会計窓口に患者ファイルを提出し、総合受付の前にあるソファに座って薬が出来あがるのを待つのだった。

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