一夜を共にしたかつての片思い相手は、優秀外科医だった。〜憧れの君と私の夢〜
 成哉の唇と口の中が、さっきよりも更に熱を帯びているのが分かる。ぬるぬるとした感覚に、私は気持ちよすぎて身をゆだねそうになっていく。
 更に、成哉はまた、私の下腹部に指を這わせていく。

「難しいかもしれないけど、今度はこっちに集中してほしい」

 と言う彼の低い声から吐き出される言葉に、はっきりと彼の真剣さが伺えた。
 指が動いて、粘膜がすれる音が聞こえる。下腹部からは、はっきりとじんわりと快楽が伝わって来る。

「我慢、しなくていいから」

 そう語る成哉。この状態で集中しろと言うのか。

(集中したら、頭が……)

 集中しているのに、呼吸が乱れていく。息を吸うよりも吐く方が多いかもしれない。いや、絶対多い。それに声自体変だ。

(なんだこれ……)

 その間も、成哉は私の胸部に触れたり、キスをしたりと絶えず刺激を与えて来た。

「もういいかな」

 指が抜かれた。と思ったら数十秒ほど経って、ずどんといきなり何かがめり込むようにして入ったような感触を覚えた。
 衝撃に耐え切れずに、今まで出した事が無い声を出してしまう。それと共に、頭の中が更にふわふわしてきた。

(頭が真っ白になる……)

 気が付いたら、意識がゆっくりと空の彼方へと遠のいていった。

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