一夜を共にしたかつての片思い相手は、優秀外科医だった。〜憧れの君と私の夢〜
 成哉曰く今日は緊急オペが複数あったようで、外科医は皆てんてこまいだったそうだ。

「本当おなかすいた……」
「ごはんのおかわりいる?」
「いるいる!」

 これだけたくさん食べる彼だが、体型は変わらず引き締まったままだ。もしかしたら多忙さなどもあって需要と供給が追い付いてないのかもしれない。

「あ、託児所決まったよ」
「ほんと?」
「うん、手続きもしてきた」
「そっか。了解。雰囲気どうだった?」
「思ってたより静かだったかな」
「ならまこととも合いそうかな? まことおとなしいし、あんまり元気な子がいたら却って落ち着かないかもしれないしさ」
「確かにそうかも……」

 私と話している間中、成哉はもりもりとチキン南蛮と大盛りのご飯をかきこんでいく。

「チキン南蛮美味しい?」
「うん、うまい」
「それ私が作ってみた。お味噌汁とオムレツはお手伝いさん」
「マジ?」
「マジマジ」
「どれもめっちゃうまい。ご飯が進む」

 彼から美味しいと言われると、ちょっとだけうれしくなる。

「へっへへっ」
「笑ってるのも可愛い」
「……なんか恥ずかしいかも」
「なんで? 愛海は可愛いじゃん」

 そうお手伝いさんの目の前で何度も可愛いと言われると、更に恥ずかしさが増してしまうのだ。
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