一夜を共にしたかつての片思い相手は、優秀外科医だった。〜憧れの君と私の夢〜
「あそこそんなに多くないからいけるんじゃない? ダメだったらごめん」
そうして数日後。まことはすっかり元気になったので彼女を連れてベリが丘の総合病院横にある託児所を訪れてみたのだった。
現地に向かう前にお手伝いさんが電話でアポを取ってくれていたおかげか、来所するとすぐに保育士が笑顔で出迎えてくれた。
「あっ、藤堂先生の奥さんですね。どうぞお入りください」
「はい、それでは失礼します」
入ってすぐの前方に幼児らが遊ぶキッズスペース、右側にはキッチンと幼児の高さに合わせた食卓テーブルと椅子、キッチンの奥にはシャワールームとトイレが設置されている。
「こちらにどうぞ」
食卓テーブルを囲って座るように促される。椅子は大人用のものを保育士が用意してくれた。用意してくれた椅子に座り、保育士にお礼を言う。
「ありがとうございます」
「いえいえ。今日はもしかして託児所のご利用についてですか?」
成る程、向こうも分かっていたようだ。なら話は早い。
「はいそうです。利用できますか?」
「勿論! 親の片方が病院職員でしたら利用可能なので大丈夫ですよ」
(私がカフェ勤務なのは分かってないみたいか。その方が助かるけど)
「分かりました。では利用させて頂けますか?」
「はい! ぜひぜひ!」