一夜を共にしたかつての片思い相手は、優秀外科医だった。〜憧れの君と私の夢〜
「ここでいいですか?」

 家の玄関前に車を停めてもらい、車内で料金を払うと車を降りた。

「奥さま、おかえりなさいませ」
「扉開けてくれてありがとうございます。ただいま戻りました」

 お手伝いさんが玄関の扉を開いて出迎えてくれるのと同時にまことを抱き上げ優しく揺らす。

「託児所どうでしたか?」
「良い感じでしたので入所の手続きしてきました!」
「ほんとですか? 良かったですね」

 お手伝いさんがぱっとにこやかな笑顔を浮かべて喜んでくれた。彼女がまことを抱きながら良かったでしゅねえとまことにも話しかけるとまこともにこやかにひひっと笑った。

「静かそうな場所でしたので、まことも落ち着いて通ってくれそうかなと思いまして」
「まことちゃんおとなしい子ですからねえ。静かな方が集中しやすい部分はあるように思います。もし何かあれば気軽に私達を頼ってください。子守りも得意ですので!」
「ほんと助かります。その時はまたお願いしますね」

 その後はまことの子守りをお手伝いさんに任せて、夕食の準備を別のお手伝いさんと共に進めていく。
 成哉は今日も遅くなる予定だと聞いている。その為すぐ温めて出せるように、鳥つくね入りの豚汁に決めた。鳥つくねはお手伝いさんがスーパーで調理済みのものを買ってくれていたのでそれを鍋の中にぽちゃぽちゃと入れていく。そこに刻んだ白菜とニンジン、玉ねぎに小間切れの豚肉を入れて火にかけていく。
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