一夜を共にしたかつての片思い相手は、優秀外科医だった。〜憧れの君と私の夢〜

（これだ。そうだ……！）

　いつかこんな感じの喫茶店を、カフェをオープンさせたい。その欲が思い浮かんだ時、誰かに私の名前を呼ばれたような気がした。

「愛海！　愛海！」
「……？」

　うっすらと目を開くと、私の右側に成哉が、左側には一緒に夕食を作ったお手伝いさんが心配そうに私を見つめていた。ベッドから起き上がろうとすると、身体のあちこちの関節に鈍い痛みが走る、もしかして長い時間眠ってしまってたのだろうか。

「え、今……何時？」
「21時半すぎくらいです、奥さま」
「えっもうそんな時間？」

　まさかそんな時間まで寝てしまっていたとは。それにこの胃が空っぽになって縮んだような空腹感。おなかも空いてしまっている。

「まことは？」
「もうベッドでぐっすりだよ。ご飯もちゃんと食べたって聞いた」
「そ、そっか……ありがとうございます」
「奥さま、ご飯頂きますか？」

　お手伝いさんにそう問われ、私ははい。と返事をしながら立ち上がって自室を後にする。

「成哉さんはご飯食べた？」
「うん。さっき食べた」
「なんか申し訳ない……」
「いや気にしなくていいよ。愛海が寝てるって聞いたから先に食べて愛海が起きるまで待った方がいいかなと思ってさ」

　どうも私を起こさないように気を使ってくれたようだ。