一夜を共にしたかつての片思い相手は、優秀外科医だった。〜憧れの君と私の夢〜
「はい。妻の愛海と……申します。この子が娘のまことです。あとお手伝いさん」
「よろしくお願いします」
「あら……やっぱりベリが丘に住む人はお手伝いさんいるの多いですねえ。それにまことちゃんも愛海さんも可愛らしいです。ふふっ」
「あ、ありがとうございます」

 キッチンには老いた細身の男性がせわしなく動いている姿が見えた。きっと彼が星田医師の祖父なのだろう。白髪の髪をオールバックにしてYシャツを腕まくりした状態の彼は私達を見てにこっと軽く会釈をした。

「どうぞお席に」

 店員が私達をテーブル席に案内すると、出入り口にはサラリーマンが3.4人程来店してきてテーブル席に座っていく。

「これお冷ね。注文が決まったらこのタブレットを押して注文してください」

 テーブル席には1台ずつタブレットが設置されていり。そこの画面をタップして注文を送るシステムのようだ。アンティークな雰囲気とはかけ離れたシステムであるが、店員が彼女1人である事を考慮するとこのシステムを採用した方が楽なのはありそうだ。

「ベリが丘のレストランって、こういうタブレット形式のお店よく見るかも」

 という成哉のつぶやきに対して私はそうなの? と返す。

「結構多いよ。それにメニュー持ってくるのもロボットが持ってくるとかあるある」
「へえーー……」

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