一夜を共にしたかつての片思い相手は、優秀外科医だった。〜憧れの君と私の夢〜
(どういう事よ?!)
 
 成哉は私が勤めているあの病院の医者で、外科医。という肩書自体は理解できた。だが、頭がそれ以上について考えるのを拒否してしまっている。

(え……そんな人としちゃった、わけ?)

 とりあえずまずはシャワーでも浴びよう。私は身体を引きずるように歩きながら浴室まで移動する。

「はあ……」

 それにしてもここのベリが丘のホテルは設備が最新のもので整っている。洗面台にはシャンプーリンストリートメントにボディーソープやスキンケアが各種揃っており、ドライヤーとヘアコテも設置されている。しかもつやっつやの浴槽にはジャグジーまであるなんて。

(すご……一体お値段いくらするんだろ)

 お風呂場の鏡で一瞬だけ、私の身体が目に入った。所々赤くなっている。

(キスマーク……ってやつ?)

 シャワーを浴びて、浴槽でジャグジーを満喫してから着替えてもう一度ベッドに入った。
 足がむくんでしまっている。浴槽で念入りにマッサージしたのにあまり取れていない。

「寝よ寝よ……」

 私は現実をまだ全て受け入れられないまま目を閉じた。

(あーー……)

 まだ下腹部には熱が残っている。はたしてちゃんと睡眠できるだろうか。

(眠れるかな……)
< 8 / 135 >

この作品をシェア

pagetop