一夜を共にしたかつての片思い相手は、優秀外科医だった。〜憧れの君と私の夢〜
 ハンバーグをはふっと口の中に入れて噛んでみる。するとたくさんの肉汁にこしょうの風味とデミグラスソースの少し酸味が効いた濃厚な味が混ざり合って、とても美味しく感じる。これはご飯と合う味だ。

「うーーん、美味しい!」
「うまいよなこれ、めっちゃ美味しい!!」

 成哉もご満悦と言った具合のにこやかな表情を浮かべながら、ハンバーグの切れ端をご飯の上に乗せてもりもりと食べ進めていく。
 ハンバーグも去ることながら付け合わせの野菜2種もとても美味しい。茹でキャベツとニンジンはデミグラスソースと相性が良いしポテトサラダはゆで卵とツナが入っていて甘みもあり美味しい。オニオンスープもバターの風味が効いていてこちらも美味しく頂ける。

「ごちそうさまでした」

 あっという間に完食してしまった。それは成哉も同じだったようだ。まこととお手伝いさんはまだ食事中なので彼女達を待つ為にもこの喫茶店を見渡す事に決めた。
 鏡はテーブル席のソファ側の壁にあった。他にもあちこちにアンティークな小物が設置されている。

「あれ……」

 窓際の棚にはガラスで出来たオルゴールが置かれてあった。丸くて5センチほどの筒状をしていて金色の縁取りがなされているオルゴールに私は目が留まってしまう。
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