一夜を共にしたかつての片思い相手は、優秀外科医だった。〜憧れの君と私の夢〜
「実は成哉さんとは小学校と中学校が同じだったんです」

 一応片思いの時から話す事に決めた。小学校からの付き合いで、当時から成哉は人気者で、そして彼はその頃から医者になりたいという夢を語っていた事を語る。

「藤堂先生すごいじゃないですかあ、ねえ、松崎さん」
「そうですよ、小さい頃の夢を叶えたなんてすばらしいです!」
「いやあ、それほどでも……」
「や、すごいですよ成哉さんは」

 私が彼へ対して率直にすごいと伝えると、成哉は顔をやや赤くさせながらもありがとうと返してくれたのだった。

「当時、成哉さんを好きな女子は結構いました。おまじないも流行ったんです」

 田中さんがどんなおまじないかと尋ねたので、成哉の髪の毛を使うらしいと伝えた所、成哉はえっ……とフリーズ状態になってしまった。

「愛海……それマジ?」
「うんマジマジ」
「ええ……こわっ」
「あーー、好きな子の髪の毛を赤いお守り袋に入れて持っておくと結ばれるってやつですよね」
「田中さん知ってるの?」
「私はやった事ないですよ先生。でも友人でおまじない好きな子がいてその子がやったらほんとに付き合えたって言うか……」
「ひぇーー……マジかぁ」
(これ言わなかった方が良かったかな)
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