彼に抱かれ愛を弾く 〜ベリが丘恋物語〜
ショップを出ると、外はすっかり暗くなっていた。
「さぁ、次はメインイベントだ」
「え⁉︎ メインイベント⁉︎」
これ以上何があるの?そういえば、今夜一緒に行って欲しいところがあるって言っていたっけ。
「美音は本当に可愛いなぁ。想像以上の反応をくれるから、俺は嬉しくて仕方ない」
彼の言葉一つ一つが私の心を弾ませる。
もう歯止めが効かないくらい、彼に惹かれてしまっているらしい。
「さぁ、乗って」
彼にエスコートされ助手席に身体を預けた。
彼が運転する車は、イルミネーションで彩られたベリヶ丘の街を進んで行く。
もしかして港の方に向かってるのかな……
あの日の嫌な記憶がよみがえる。でも、ハンドルを握る俊佑さんの横顔を見ていると、いつの間にか私の脳裏から消えていた。
彼の運転する助手席を堪能していると、目の前にベリが丘ヘリポートが現れた。車を降り、彼の手を取り着いて行く。
これは・・・
私たちの目の前で、これから飛び立とうとしているヘリコプターが、今か今かとご主人様を待ち構えているようだった。
「俊佑さん、この状況はいったい?」
「今からこれに乗るんだよ」
「え⁉︎」
ご主人様って私たち⁉︎
なんてこと……
「さぁ行こうか」
彼に手を引かれ、一緒にシートに腰掛けた。
プロペラの振動が身体に伝う。
ヘリコプターなんて初めて乗った。
気持ちが高揚し、思わず彼の手を握り締めた。
「大丈夫?」
「凄くドキドキしています」
彼は微笑むと、私の手を握り返してくれた。