彼に抱かれ愛を弾く 〜ベリが丘恋物語〜
乗り込んだヘリコプターが徐々に上昇して行く。
同時に、ベリが丘の街並みが眼下に広がっていった。
あちらこちらに設置されたイルミネーションや、ライトアップされた建物が眩しいくらいに輝きを放っている。

宝石箱をひっくり返したかのような絶景とはまさにこのこと。


「うわぁ!凄い!キレイ!」

身を乗り出してしまいそうになり、彼にホールドされた。
クスクスと笑った彼が窓ガラスに映っている。私の視線に気づいたようだ。

「正解だったな」

「正解?」

「お母さんが言っていたんだ。初めて自分たちが暮らすマンションに行った日、高層階から外の景色を見た時の美音の表情がとても可愛かったんだって。お父さんに抱っこされた美音が目をキラキラさせて、すごぉ〜い、たかぁ〜いって凄く興奮してたって。
それで思ったんだ。その可愛い表情を俺も見たい!ってね。欲がわいたんだ」

「もしかして、私の顔……」

「あの時もきっと、今と同じような表情をしていたんだろうな」

「恥ずかしいです。でも、凄く嬉しいです」

欲がわいたと言っていたけど、私を喜ばせたいという気持ちが凄く伝わってくる。首元に輝くルビーのネックレスも彼の愛情の塊だ。
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