彼に抱かれ愛を弾く 〜ベリが丘恋物語〜
「俊佑さん」

「ん?」

「食事、されますか?」

「そうだなぁ、美音が食べたいものを食べ行こうとは思ってる。でも、さっきの返答だからなぁ」

「お家に帰りませんか?」

「え? もしかして疲れたか? 勝手に連れ回したもんな。そりゃぁ疲れるよな。ごめんな」

「違います違います!そうじゃないんです。私ばかり楽しませてもらってるから、私も何かしたいなぁって思ったんです。それに、疲れているのは俊佑さんの方だと思います。帰国したばかりなのにきちんと休めていないんじゃないですか?」

「俺は疲れてないよ。美音の笑顔が見たいんだ。それに、傍にいたい」

「だったら、家に帰りましょう。私が何か作ります。一緒に食べませんか?」

「作る?」

「はい、私、結構料理得意なんですよ。あっ、そうだ、その前に確認しておかなきゃいけないことがありました。調理器具とかお皿とかありますか?」

「それは一式揃ってる。ただ、冷蔵庫には何も入ってない。調味料も何もない」

「わかりました。では一つお願いがあります。帰りにショッピングモールに寄ってください。お買い物をします。すぐに済ませますので俊佑さんは車で待っててもらえますか?」

「それでいいのか?」

「はい、そうしたいです」

「わかった。でも、俺、車で待たないぞ」

「一緒にお買い物してくれるんですか?」

「する。させてくれ」

「じゃあ、決まりですね。何が食べたいですか?」

「そうだなぁ、白米。和食が食べたい」

「嫌いな食べ物はありますか?」

「ない。苦手なものはあるが、食べれないことはない」

「わかりました。俊佑さん、行きましょう」

これで休んでもらえる。帰ったら、作っている間にお風呂に入ってリラックスしてもらおう。

私たちはヘリポート近くにあるショッピングモールで買い物を済ませ、帰路についた。

ショッピングセンターの食料売り場でカートを押す俊佑さんが、場違いに目立っていたのは言うまでもない。
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