彼に抱かれ愛を弾く 〜ベリが丘恋物語〜
「俊佑さん、怒ってますよね?」

「別に怒ってない」

「じゃぁ、嫉妬ですか?」

「正解」

「うふふっ」

「笑い事じゃないんだが」

「ごめんなさい、嬉しくてつい」

「俺、沙織だけじゃない、優也にも嫉妬してた」

え⁉︎ まさかの優也くん?

「優也くんにどうして?」

「パーティーの時、言っていただろう。災害に遭って困っていたら僕が助けてあげるって」

「確かに」

「美音を助けるのは俺だ。美音の大切な人も俺が助ける」

真剣な眼差しで訴えるように放たれた言葉が、私の背中を押した。

「俊佑さん、今すぐ結婚してもらえませんか?」

「・・・」

「俊佑さん?」

「今、なんて?」

「私と、今すぐ結婚してもらえませんか?」

「だよな、そう言ったよな・・・えっ⁉︎」

抱えていたクッションを放り投げ、勢いよく体を起こした。

瞬きを繰り返す俊佑さんの手を握り、そっと唇を重ねる。
私たちのファーストキスだ。
愛おしい、彼の全てが愛おしい。

返事を待っていると、突然立ち上がり、自室に行ってしまった。
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