彼に抱かれ愛を弾く 〜ベリが丘恋物語〜
俊佑さんと初めて身体を重ね、一週間が過ぎた。
日曜の昼下がり、私は独りマンションにいる。
この一週間、俊佑さんとは会っていない。
今日も会える気がしない。

心臓血管外科医としてスキルを磨いてきた彼の腕は国内でもトップクラスと言われ、要人の手術を担当することもある。凄腕心臓血管外科医の評判が世間に広まるのにそう時間はかからなかった。結果、手術依頼が格段に増したのだ。ここのところ、立て続けに執刀しており、毎日のように『今日も帰れない』とメッセージが送られて来る。

過労で倒れるのではないだろうかと不安だし、この広い部屋に独りぼっちはとても寂しい。
こんな時に限って沙織さんも海外に長期出張中だ。

俊佑さんに会いたい。

深いため息をついた。

それからさらに一週間、独りぼっちで目を覚ました金曜日、心にぽっかりと穴が空いたまま、身支度をして会社に向かった。
いつも通り仕事をする。今日も変わらぬ一日が待っていると思っていた。


総務部のドアが開くその時までは……
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